北海道東部,十勝地方の大部分をうるおす川。幹川流路延長156kmは北海道では石狩川,天塩川に次ぐが,多くの支流をもつため,流域面積9010km2は北海道第2位,全国でも第6位である。石狩山地の十勝岳に源を発し,北西~南東に貫流して太平洋に注ぐ。おもな支流には,石狩山地に発し糠平(ぬかびら)湖を経て帯広付近で合流する音更(おとふけ)川,日高山脈から発し帯広付近で合流する札内(さつない)川,石狩山地東端部から発し豊頃(とよころ)付近で合流する利別(としべつ)川などがある。十勝平野の主要部を構成する洪積台地に,やや広い谷を開析して沖積地をつくるが,蛇行が著しいため特に下流部では,河川改修の結果として取り残された河跡地帯や三日月湖を残す湿地帯が多くみられる。池田~茂岩(豊頃町)間の河道の直線化は早くから完成して,利別川との分離がなされている。十勝太(とかちぶと)に開く河口は砂の堆積によって東側に偏り,その背後に湿地帯もあるので,しばしば洪水の害を受ける。明治期の開拓当初は水運にも用いられたが,1907年帯広~旭川間に根室本線が開通してからはしだいに衰えた。分流の大津川河口にある大津(豊頃町)は,港町としてにぎわったが,その後水運の衰えとともに衰退した。音更町にある十勝川温泉の下流2kmの地点には長さ約200mの千代田堰堤(えんてい)があり,10月ころには川をさかのぼるサケとサケ漁がみられる。
執筆者:奥平 忠志
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北海道東部を流れる川。一級河川。北海道を東西に分ける脊梁(せきりょう)山地の蝦夷(えぞ)山系の十勝岳を源流とし十勝平野を南東流して太平洋に注ぐ。延長156キロメートル、石狩(いしかり)川、天塩(てしお)川に次ぐ道内第三位の河川であるが、流域面積は9010平方キロメートルで道内第二位。利別(としべつ)川、音更(おとふけ)川、札内(さつない)川、浦幌(うらほろ)川などいずれも100キロメートル前後の支流を擁し、下流部になると低湿な泥炭地が発達するが、上・中流域は一般に砂礫(されき)質で、北海道の代表的畑作地域を形成している。
開拓初期には水上交通に利用され、入植者の輸送や物資の搬出入も行われたが、1907年(明治40)帯広(おびひろ)―旭川(あさひかわ)間の鉄道開通で衰退した。
[進藤賢一]
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