精選版 日本国語大辞典 「千手院」の意味・読み・例文・類語
せんじゅ‐いん‥ヰン【千手院・千寿院】
- 〘 名詞 〙
- ① 千手観音を本尊としてまつる堂。
- [初出の実例]「千手院に収めたる修理(すり)分の銭、百貫无し」(出典:日本霊異記(810‐824)中)
- ② 刀工の一派。奈良、東大寺の千手院谷(奈良市雑司町)に住んだ行信・重弘を祖とし、平安末期に興り、鎌倉時代を通じて隆盛をみた。
- [初出の実例]「これは大和のせんじゅゐんに作らせて秘蔵して持ちたれども」(出典:義経記(室町中か)四)
- ③ 千手院派の刀工の鍛えた刀。反(そり)が高く、鎬(しのぎ)の広いことが特徴とされる。銘のあるものは少なく、「千手院」とだけ銘したものが大部分である。千手院物。
- [初出の実例]「いわふたり・守り刀に千寿院」(出典:雑俳・あかゑぼし(1702))