南史(読み)ナンシ(その他表記)Nán shǐ

デジタル大辞泉 「南史」の意味・読み・例文・類語

なんし【南史】

中国二十四史の一。李延寿撰。高宗(649~683)の時に成立南朝の4代の史書を1書に編纂へんさんしなおしたもの。本紀10巻、列伝70巻から成り、全80巻。→北史

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精選版 日本国語大辞典 「南史」の意味・読み・例文・類語

なんし【南史】

  1. 中国の正史二十五史一つ。本紀一〇巻、列伝七〇巻からなる。唐の李延寿撰。高宗(在位六四九‐六八三)の時成立。南朝の宋・斉・梁・陳四国の正史を改修した通史。南朝北朝の歴史それぞれ自国中心であるのを是正し、双方を対照し、条理を整えて編集したもの。

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改訂新版 世界大百科事典 「南史」の意味・わかりやすい解説

南史 (なんし)
Nán shǐ

中国,南朝の歴史をあつかう正史。本紀10巻,列伝70巻。北朝の歴史をあつかう《北史》(本紀12巻,列伝88巻)とともに初唐の李延寿が父の李大師(570-628)の遺志をついで完成した。《南史》は《宋書》《斉書》《梁書》《陳書》を,《北史》は《魏書》《北斉書》《周書》《隋書》をそれぞれ簡略にまとめるとともに,いくらか他の材料も用いている。もとづくところの8種の正史よりひろく読まれたのは,叙述が簡略であることのほか,一族の人物を王朝興亡とかかわりなく1ヵ所にまとめて記述する家伝の方法を用いたことが,南北朝時代の門閥貴族社会の実情をよく伝ええたからである。また南北朝時代に書かれた正史では,南朝側は北朝のことを〈索虜(さくりよ)〉とよび,北朝側は南朝のことを〈島夷(とうい)〉とよんで互いにさげすみあったが,このような偏見も解消されている。因果応報譚などの小説的要素に富むのも特色である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「南史」の意味・わかりやすい解説

南史
なんし
Nan-shi; Nan-shih

中国,南朝 (→南北朝) の宋,斉,梁,陳4王朝を通観した正史。 80巻。唐の李延寿撰。その別著の『北史』と対応する。史料的には南朝のそれぞれの王朝の正史と比べると,簡明に整理されている。

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