精選版 日本国語大辞典 「南蛮文化」の意味・読み・例文・類語
なんばん‐ぶんか ‥ブンクヮ【南蛮文化】
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16~17世紀に南ヨーロッパのカトリック教国民が日本にきたことによって普及し、また日本人がその影響を受けた外来文化。キリシタン文化の名でよぶ向きもあるが、これは、南蛮文化のうちキリスト教関係のものについての名称としては適切であっても、キリシタン宗門と直接関係のない外来の文物、たとえばカステラ、ジバン(襦袢(じゅばん))、タバコなども多く、またキリシタン文化は江戸時代に厳禁された一方、宗教と無関係の南蛮文化は好んで受容されたから、両者の性格は相当異なっているといえよう。
芸術の分野では「南蛮屏風(びょうぶ)」をあげうる。狭義には「南蛮人渡来図屏風」をさし、16世紀末~17世紀初頭の長崎の港町が主題で、左半双には外国の情景を描いたものもある。この種の屏風では、南蛮船、南蛮の商人、キリシタンの教会と宣教師たちが欠かせない要素となっている。広義には、世界・日本地図屏風、西洋風俗図屏風、世界都市図屏風などをもさしている。都市図屏風などが、ヨーロッパから日本にもたらされた画集などに基づいていることは明らかである。屏風以外にも、ザビエル肖像画、聖母マリア像など、キリシタンの宗教画も多く、そのほか漆器、陶器、金工など、宗教色のない美術工芸の、いわゆる「南蛮もの」が数々みいだされる。
風習としては、テンプラ、カステラ、ボーロ(ボウル)、パン、金平糖(こんぺいとう)のような食品、メリヤス、ラシャ(羅紗)、サラサ(更紗)、ジバン、ビロードのような衣服関係のもの、そのほか、タバコ、カルタ、ビードロなど用語から南蛮渡来のものと推定されるものがあるが、ポルトガル語に同じ語句があるからという理由だけでは不十分で、江戸初期以前から日本で普及していたことが確認されなければ、南蛮の文物とはいえない。既述のもののなかにもその意味では断定できないものもある。肉食の風習は南蛮に由来するが、普及せず、西洋音楽、演劇もまたキリシタン宗門の禁止とともに消滅した。南蛮文化のうち特筆に値するのはイエズス会経営の学校であり、キリシタン版の刊行もそこで行われた。しかしそれらもキリシタンの禁圧によって普及発達しなかった。南蛮医学、天文学、銃砲などは、オランダ人との交渉が継続したので、蘭学(らんがく)へとつながって、日本人がそれぞれの分野で受容し発達せしめた。以上のほか、南蛮人宣教師が戦乱の時代に難民を救済したり、キリスト教的道義を広く説くなど日本社会に貢献したことも看過すべきではない。
[松田毅一]
『海老沢有道著『キリシタン文化概説』(1948・青年評論社)』▽『古賀十二郎編『長崎市史 風俗編』再版(1967・清文堂出版)』▽『海老沢有道著『南蛮学統の研究』増補版(1978・創文社)』
16~17世紀にポルトガル,スペインなど南欧カトリック教国民との交流により,日本に伝来した異国風文化。宗教・思想・言語から,天文・地理・医療・機械など自然科学や技術,美術工芸などの芸術,服飾・飲食・行事などの風俗習慣に及ぶ。ポルトガルとイエズス会が大きな役割をはたし,カトリックの典礼や儀式とともに日本社会に普及した。ただし,これらの文物は江戸幕府の禁教政策のため,ごく少数の秘匿された宗教画や手工芸品,キリシタン版の典籍などが伝存するにすぎない。このほか貿易や日常的交流により受容された世俗文化として,銃砲などの技術や服装・料理・外来語などの生活文化に多くの要素が認められる。このなかには伝来の過程でアラブやアジア世界の土着文化と混淆したもの,日本社会で変容したものも少なくない。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
…来日した宣教師や商人,さらには日本人の海外渡航者によって天体観測機(太陽,星,赤道などからの距離を測る),平面球形図,海図,磁石などがもたらされ,緯度の測定も行われた。タバコ(煙草),パン(麵麭),メリヤス(莫大小),シャボン(石鹼)などポルトガル語を語源とするものが今日まで多く残っていることからも,南蛮文化との深いつながりを感じさせる。鉄砲が伝来してまもなく,伝統的な刀鍛冶の技術に支えられて国産化し,堺,根来,近江国友などで大量に作られ,全国に普及していった。…
※「南蛮文化」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報
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