卵黄嚢(読み)ランオウノウ

デジタル大辞泉 「卵黄嚢」の意味・読み・例文・類語

らんおう‐のう〔ランワウナウ〕【卵黄×嚢】

魚類羊膜類の胎生期初期にみられる、卵黄を包む袋状の膜。卵黄の分解吸収を行い、多数血管を通じて栄養を送る。卵黄が消費されてなくなると、胚に吸収される。

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精選版 日本国語大辞典 「卵黄嚢」の意味・読み・例文・類語

らんおう‐のうランワウナウ【卵黄嚢】

  1. 〘 名詞 〙 動物胚の卵黄塊を包む胚体外胚層からなる嚢状の膜。頭足類・魚類・爬虫類鳥類哺乳類などでみられる。魚類など無羊膜類では、卵黄塊を直接包む消化管壁の内臓葉とそれを包む体壁葉の二重構造からなり、その間は胚体外体腔となっている。羊膜類では、卵黄塊を包む内臓葉のみが卵黄嚢となり、胚体外体壁葉は羊膜・漿膜を形成する。臍嚢。〔生物無生物の間(1956)〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「卵黄嚢」の意味・わかりやすい解説

卵黄嚢
らんおうのう
yolk sac

動物の端黄卵,多黄卵の胚で卵黄塊を包む袋状構造。胚体と嚢との間はくびれ,卵黄柄でつながる。卵黄の分解吸収を行い血管を通して胚体へ送る。無脊椎動物では軟体動物の頭足類,脊椎動物では魚類,羊膜類 (爬虫類,鳥類,哺乳類) でみられる。発生中,胚盤の端が卵黄の上に広がり,完全に包み込んで形成される。魚類ではこの膜は体壁の延長の体壁葉と消化管の延長である内臓葉から成り,両者の間に胚体外体腔がある。羊膜類では前者は羊膜と漿膜になり,後者が卵黄嚢で,胚膜の一つ。哺乳類では卵黄塊はないが,卵黄嚢に相当する構造を生じる。

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