動物の卵に特有な貯蔵物質で、卵が胚(はい)発生をする際の栄養源となる。多量に蓄積されると黄色を呈するのでこの名が与えられている。多くの場合卵黄は、卵黄顆粒(かりゅう)として細胞質内に散在するか、卵黄球として蓄積されるかのいずれかである。卵内に蓄積される卵黄の量やそのあり方は、動物の種によってさまざまである。卵黄の存在は卵の細胞質の運動の物理的障害となるので、卵黄の量やあり方は卵割(細胞分裂)や原腸陥入など卵全体の動的活動を規定している。一般には、卵黄を多くもつようになった細胞は将来、内胚葉(消化管)になる。卵黄は、卵巣内で卵を取り巻く濾胞(ろほう)細胞や、哺育(ほいく)細胞により供される材料からつくられる。この材料は、ホルモンの影響のもとに肝臓や脂肪体の細胞から、血液あるいは血リンパ液を通じて卵巣に運ばれたものである。その成分はリンタンパク質、リン脂質のほか、複合脂質、炭水化物、無機質、ビタミンなどである。これらの成分をどのような割合で含むかは動物によって異なる。最近では、ある種の動物では卵黄に母体からの伝令RNA(リボ核酸)あるいはリボゾームなどを含むことが知られている。
[竹内重夫]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…ニワトリの卵は卵殻,卵白および卵黄の三つの部分からなる。各部分の重量比は,卵殻8~11%,卵白56~61%,卵黄27~32%。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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