厳しい(読み)キビシイ

デジタル大辞泉 「厳しい」の意味・読み・例文・類語

きびし・い【厳しい/酷しい】

[形][文]きび・し[シク]
厳格で少しのゆるみも許さないさま。厳重である。「―・いしつけを受ける」「―・く取り締まる」「練習が―・い」
いいかげんな対処が許されないさま。困難が多くて、大変なさま。「生活が―・い」「前途は―・い」
自然現象などの程度が著しいさま。
傾斜が急である。けわしい。「―・い山容
㋑気象条件がなみはずれている。激しい。ひどい。「寒さが―・くなる」「残暑―・い折から」
物事の状態が緊張・緊迫しているさま。「―・い国際情勢」「表情を―・くして会見する」
すきまがなく密である。
「松―・しく生ひつづき」〈東関紀行
なみはずれているとしてあきれ、また、感心するさま。たいしたことだ。結構だ。→厳し
「鯛の浜焼に、たこの桜煮、これは―・いお持たせぢゃな」〈伎・五大力
[補説]平安初期にはク活用。
[派生]きびしげ[形動]きびしさ[名]
[類語](1きつい厳格厳重厳酷厳正冷厳峻厳しゅんげん峻烈しゅんれつ苛酷かこくこく容赦ようしゃない仮借かしゃくない険しい鋭い激しいひどい手痛い手厳しい手ひどいこっぴどい辛辣しんらつびしっと手強いすさまじい猛烈強烈苛烈熾烈しれつ強い強力強大無敵最強力強い/(3強いきついどぎついひどい手ひどい激しいすごいものすごい手厳しい辛辣はなはだしい桁外れ桁違い並外れ格段著しいすさまじい猛烈痛烈強烈苛烈熾烈しれつ激烈鮮烈凄烈凄絶壮烈壮絶悲壮過激ラジカル激甚急激峻烈しゅんれつ激越矯激ファナティック先鋭烈烈シビア厳格厳重厳酷厳正冷厳峻厳しゅんげん苛酷鋭いこっぴどい強力強大無敵最強力強い手強い荒荒しい荒っぽい大荒れ猛然荒らか威烈猛に

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精選版 日本国語大辞典 「厳しい」の意味・読み・例文・類語

きびし・い【厳】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]きび〘 形容詞シク活用 〙 他に対する接し方や警戒の仕方が厳格、厳重である。簡単に近づいたり入り込んだりできない感じである。
  2. いかめしい。おごそかである。厳重である。
    1. [初出の実例]「帳台の夜、行事の蔵人のいときびしうもてなして」(出典:枕草子(10C終)九二)
    2. 「大きなる柑子(かうじ)の木の、枝もたわわになりたるが、まはりをきびしく囲ひたりしこそ」(出典徒然草(1331頃)一一)
  3. 人に対する要求などが激しく容赦がない。簡単に許すことをしないさまである。苛酷である。
    1. [初出の実例]「世中の乱れたらん事を直させ給はんとおぼしめし、制などもきびしく」(出典:栄花物語(1028‐92頃)松の下枝)
  4. すきまがなくつまっているさまである。また、ゆるみがなくぴったりしている。
    1. [初出の実例]「百姓殷(さかり)に稠(キヒシウ)して居家鱗のごとくに接(まじは)れり」(出典:大慈恩寺三蔵法師伝永久四年点(1116)三)
  5. 自然の力などが強くて、簡単には対応できないさまである。山がけわしい、寒暑の程度がひどいなど。
    1. [初出の実例]「熊野へ参らむと思へども徒歩より参れば道遠し、すぐれて山きびし」(出典:梁塵秘抄(1179頃)二)
  6. 程度のはなはだしいさま。ひどく。
    1. [初出の実例]「表の戸をきびしくたたけば」(出典:浮世草子・けいせい伝受紙子(1710)五)
  7. ある行為や状況、言葉などに対して、それが普通でないことをあきれたり感心したりする気持をこめていう。たいしたものだ。ひどいものだ。
    1. [初出の実例]「身共は粋じゃ。野暮じゃによって一つも腹は立ぬ。きびしいか」(出典:歌舞伎・幼稚子敵討(1753)三)
  8. 状況などが緊迫しているさま。状況の打開、解決が容易でないさま。

厳しいの派生語

きびし‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

厳しいの派生語

きびし‐さ
  1. 〘 名詞 〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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