参ずる(読み)サンズル

デジタル大辞泉 「参ずる」の意味・読み・例文・類語

さん・ずる【参ずる】

[動サ変][文]さん・ず[サ変]
上位者の所に「行く」また「来る」の意の謙譲語参上する。まいる。うかがう。「門下生が急ぎ―・ずる」
一員として加わる。参加する。「商工組合に―・ずる」
参禅する。「夏行げぎょうに―・ずる」
(動詞の連用形接続助詞「て」を添えた形に付いて)相手を敬って、その人に何かをしてあげる意を表す。
珈琲れて―・じましょうか」〈魯庵社会百面相
[類語]来る参る行く参上参じる馳せ参じる罷り出るいらっしゃるおいでになる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「参ずる」の意味・読み・例文・類語

さん‐・ずる【参】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 サ行変 〙
    [ 文語形 ]さん・ず 〘 自動詞 サ行変 〙
    1. ある場所の主を敬って、その場所へ「行く」「来る」の意の謙譲語。うかがう。参上する。まいる。
      1. [初出の実例]「さんせむとするを、今日明日の御物忌にてなん」(出典:枕草子(10C終)八)
      2. 「軍兵雲霞の如く召し倶して、高松殿に参じけり」(出典:金刀比羅本保元(1220頃か)上)
    2. 神社に詣でる。まいる。
      1. [初出の実例]「鶴岳に登て鳩宮に参す」(出典:海道記(1223頃)鎌倉遊覧)
    3. ( 他動詞的にも用いる ) 参考にする。参照する。
      1. [初出の実例]「露石子すなはち他書に参じ、更に逸句を加へて此書を成す」(出典:俳諧・蕪村遺稿‐跋(1900)〈高安月郊〉)
    4. 一員として加わる。参加する。
      1. [初出の実例]「平治の逆乱にも親類をすてて参じたりしか共、恩賞これおろそか也き」(出典:平家物語(13C前)四)
    5. 禅寺で、坐禅の行をする。参禅する。
      1. [初出の実例]「つひに大白峰の浄禅師に参して、一生参学の大事ここにをはりぬ」(出典:正法眼蔵(1231‐53)辨道話)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 サ行変 〙
    [ 文語形 ]さん・ず 〘 他動詞 サ行変 〙
    1. 「与える」の謙譲語で、その動作の相手を敬う。さしあげる。
      1. [初出の実例]「『だんだんそっちゃのおかたへあげてくだんせ』『しから、あんたへさんじますたい』」(出典:滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)六)
    2. ( 動詞の連用形に助詞「て」を添えた形に付いて補助動詞のように用いる ) 相手を敬って、その人に何かをしてあげる意を表わす。
      1. [初出の実例]「一軒隣のが仕出し屋でござゐますから、私が直にあつらへて参じますが」(出典:人情本・英対暖語(1838)初)
      2. 「珈琲を煎れて参じませうか」(出典:社会百面相(1902)〈内田魯庵〉破調)

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