口遊(読み)クチズサミ

デジタル大辞泉 「口遊」の意味・読み・例文・類語

くちずさみ【口遊】[書名]

平安時代教科書事典。1巻。源為憲みなもとのためのり著。天禄元年(970)成立公家子弟対象に、初歩的な知識暗唱に便利なようにまとめたもの。乾象天文)・時節・官職・人倫など、19部門に分けてある。くゆう。

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精選版 日本国語大辞典 「口遊」の意味・読み・例文・類語

くち‐あそび【口遊】

  1. 〘 名詞 〙
  2. なんとなく思い浮かぶままにものを言うこと。口ずさみ。
    1. [初出の実例]「鶯の声のはつかに聞こゆるはいづれの山に鳴く山彦ぞ、とぞ、口あそびに言ひける」(出典:平中物語(965頃)六)
  3. じょうだん。むだ口。うわさ。また、悪口
    1. [初出の実例]「ことたはぶれごとはの給ふとも、このかかるくちあそびはさらにうけたまはらじ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)藤原の君)

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百科事典マイペディア 「口遊」の意味・わかりやすい解説

口遊【くちずさみ】

平安中期の幼学書源為憲藤原為光の子の誠信(松雄君)のために書いた。970年成立。口に唱えて暗誦しやすいように編集されている。九九の表や,〈たゐにの歌〉として知られる五十音を覚えるための〈太為爾伊天…〉の字列などを含む。続群書類従32輯上に翻刻がある。

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