台湾南西部の都市。高雄(たかお)の北50キロメートルに位置する。人口73万4650(2000)。旧称赤嵌(せきかん)、俗に府城(ふじょう)ともよぶ。台湾最古の都市、歴史の町でもある。16世紀ごろから大陸の漢族が移住し、17世紀初頭、オランダ人がここにプロビンシャ城(赤嵌楼(ろう))を建てて、安平(あんぺい)のゼーランディア城と対置して台湾支配の根拠地とした。1661年、明(みん)の遺臣鄭成功(ていせいこう)がオランダ人を駆逐し、ここを滅清復明(めっしんふくみん)の基地とした。1684年、清が鄭軍を降(くだ)して台湾を版図に収め、ここに台湾県を置き、以来200余年の間、台湾の政治中心地となった。
1885年省都が台北に移されたのち、1887年安平県と改称し、1945年その市街区に台南市が設けられた。市中には赤嵌、安平の古堡(こほ)や鄭成功廟(びょう)、孔子(こうし)廟など旧跡が多い。伝統的な米、サトウキビ、サツマイモ、豆類などの産地である。製糖業が早くから発達し、海岸を利用した魚の養殖も盛んである。近年は周辺に工場が林立し、紡績、製紙、食品加工業などの発展が著しい。
[劉 進 慶]
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台湾の南西部にある市。人口72万5445(1999)。付近は漢族による移住開拓が最も早くから行われ,少なくとも16世紀,明代にさかのぼることができる。1624年(天啓4)にはオランダ人が城(プロビンシア)を築いて根拠地としたが,61年(順治18)明の遺臣鄭成功によって占領され,83年(康煕22)には清領となり,台湾府が置かれて政治の中心地となった。現在は台南平野の商業の中心地。また西方の海岸にある安平とともに歴史的旧跡の多い観光地でもある。
執筆者:西村 睦男
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