名乗を上げる(読み)なのりをあげる

精選版 日本国語大辞典 「名乗を上げる」の意味・読み・例文・類語

なのり【名乗】 を 上(あ)げる

  1. 自分の名や身分を勢いよくいう。
    1. (イ) 武士戦場で敵と戦う前の作法として、自分の名を声高らかにいう。
    2. (ロ) 自分が何者であるかをみんなに知らせる。名のって出る。
      1. [初出の実例]「まだ何とも云は無え先に自分から名乗を上げて居りゃア」(出典:夢の女(1903)〈永井荷風〉一二)
  2. 相撲で、呼出しが力士の名を呼び上げる。
    1. [初出の実例]「呼出しが、土俵口即ち二字口に出て、東の方水戸の産常陸山谷右衛門と名乗(ナノリ)を挙(ア)げると」(出典:東京年中行事(1911)〈若月紫蘭〉一月暦)
  3. 競争などに加わることを表明する。選挙などに立候補する。
    1. [初出の実例]「私の同窓の親友白井俊三君が、始めて社会に名乗を揚げた貴重の土地なんです」(出典:良人の自白(1904‐06)〈木下尚江〉続)

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