デジタル大辞泉 「吠える」の意味・読み・例文・類語
ほ・える【×吠える/×吼える】
1 獣などが大声で鳴く。「虎が―・える」
2 風・波などが、荒れて大きな音を立てる。「荒海が―・える」
3 大声で話す。わめく。どなる。「壇上で―・える」
4
[補説]書名別項。→吠える
[類語]鳴く・嘶く・囀る・集く・咆哮する・遠吠えする・時をつくる・喉を鳴らす・吠え立てる・唸る・
アメリカの詩人アレン・ギンズバーグの詩集。1956年刊。1950年代アメリカのビート世代を一躍有名にした詩集で、サンフランシスコの小出版社シティ・ライツからわずか44ページの小冊子で出され、アメリカ中の若者たちの深い共鳴を得た。かつてのダダイスト詩人で精神科病院に入っているカール・ソロモンに献じられた冒頭の長詩「吠える」は、文字どおり高度管理体制下の病めるアメリカの姿に対する慟哭(どうこく)である。現代詩の大家W・C・ウィリアムズは序文で「婦人たちよ、ガウンのすそをかかげなさい。これから地獄を通るのだから」といっている。ほかにホイットマンに呼びかけた「カリフォルニアのスーパーマーケット」や「ひまわり経典」が含まれている。
[新倉俊一]
『諏訪優訳『増補ギンズバーグ詩集』(1980・思潮社)』
…アメリカの詩人。移民したロシア人を母にもつユダヤ系の詩人で,コロンビア大学を卒業後,サンフランシスコに放浪してG.スナイダーやL.ファリンゲッティたちと交わり,荒廃した世代を大胆に描いた散文的な詩集《吠える》(1956)で,一躍ビート・ジェネレーションの教祖となった。つづいて精神病院で死んだ母親ナオミのために感動的な鎮魂歌《カディッシ》(1960)を書く。…
…語源的には1950年代に流行した〈ヒップスターhipster〉に由来し,当初は〈現代感覚に敏感な者〉〈本当のフィーリングをもった者〉といった意味であった。A.ギンズバーグが《吠える》(1956)の冒頭で〈天使の頭をしたヒップスターたち〉とうたい,またノーマン・メーラーが《ぼく自身のための広告》(1959)の中でヒップスターについて詳しく論じたときには,ヒップスターはすでにヒッピーに近い意味をもちはじめていた。メーラーによると,ヒップスターはビートニクbeatnik(ビート・ジェネレーション)と不可分の関係にあり,前者は下層階級からの,後者は中産階級からの〈はみ出し者〉を意味する。…
…そして,日常的な行動様式,性の問題,服飾など,一般の風俗的な価値観などにも多大の影響をおよぼした。この運動の端緒の一つに,解放された個性の自然発生的な発動に力点をおこうとする文学・芸術上の新運動があったが,アレン・ギンズバーグの詩《吠える》(1956),ジャック・ケラワックの小説《路上》(1957)などは,ビート運動の高らかな宣言であったともいえるし,ノーマン・メーラーの評論《白い黒人》(1957)などはその強力な擁護論であった。この運動に参加した人たちは,具体的には,それぞれの行動様式にニュアンスをもたせて,ヒッピー,ヒップスター,〈聖なる野蛮人〉などと呼ばれることもある。…
※「吠える」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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