呉服師(読み)ごふくし

世界大百科事典 第2版 「呉服師」の意味・わかりやすい解説

ごふくし【呉服師】

江戸時代,将軍家側近として呉服物を独占的に納入した特殊な御用達。そのほか禁裏御所や大名屋敷に出入りした呉服商も呉服師とよばれた。公儀呉服師には元方御納戸御用払方御納戸御用があり,前者将軍家の服飾手回り品いっさいの調達を,後者賜与,ほうびの時服などいっさいの調達を行った。将軍の側近にあって身辺の御用を務めていた関係から,私的にきわめて親近な関係にあり,利権にありつくことも多かった。1603年(慶長8)の幕府の成立時には,後藤縫殿助茶屋四郎次郎,亀屋栄任らが徳川家康の側近として重宝がられていたが,慶長末より元和年間にかけて尾州茶屋新四郎,上柳,三島屋の3軒が追加され,呉服師6軒仲間が成立した。

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世界大百科事典内の呉服師の言及

【糸割符】より

… 31‐33年(寛永8‐10)にかけて,糸割符制度に大改定が行われ,仲間の組織を強化し,江戸,大坂の有力町人が追加され,五ヵ所糸割符仲間となった。さらに博多など北九州の諸都市に若干の分国配分が認められ,従来先買を認められていた呉服師仲間に対しても現糸60丸(現糸配分とは1丸50斤であって,この場合3000斤の白糸の実数を配分すること)が配分されることになった。また1631年ポルトガル船の白糸輸入が減少してくると,長崎に来航する中国船の白糸を糸割符に従属させ,35年にはこれまで九州各地に来航していた中国船を長崎1港に限定し,全中国船の白糸を糸割符に従属させた。…

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