呉牛月に喘ぐ(読み)ごぎゅうつきにあえぐ

精選版 日本国語大辞典 「呉牛月に喘ぐ」の意味・読み・例文・類語

ごぎゅう【呉牛】 月(つき)に喘(あえ)

(呉牛は暑さを恐れるあまり、月を見ても太陽と見誤って喘ぐという「世説新語言語」に見えることわざ) 牛の喘ぐさまをいう。転じて、思いすごして取越し苦労をする意のたとえ。
草枕(1906)〈夏目漱石一一「蜀犬日に吠え、呉牛月に喘ぐと云ふから、わしの様な田舎者は、却って困るかも知れんてのう」

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デジタル大辞泉 「呉牛月に喘ぐ」の意味・読み・例文・類語

呉牛ごぎゅうつきあえ

《「世説新語」言語から》呉牛は暑さをいやがるあまり、月を見ても太陽と見誤って喘ぐ。取り越し苦労をするたとえ。
[類語]杞憂きゆう

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故事成語を知る辞典 「呉牛月に喘ぐ」の解説

呉牛月に喘ぐ

しなくていい心配をすることのたとえ。

[使用例] しょっけん日に吠え、呉牛月に喘ぐと云うから、わしの様な田舎者は、却って困るかも知れんてのう[夏目漱石*草枕|1906]

[由来] 「世説新語―言語」に載っているエピソードから。三世紀の中国、西せいしん王朝の時代。皇帝側近の中に、風が嫌いなまんぷんという人物がいました。あるとき、皇帝は、当時としては珍しいガラス窓がある部屋に、満奮を連れて行きました。風が入ってくると思って満奮が困ったようすでいるのを見て、皇帝が笑うと、満奮は、「お呉牛の月を見て喘ぐがごとし(南方の呉地方に住む水牛が、熱い太陽を怖がるあまり、月を見てさえ、太陽だと勘違いしてはあはあ喘ぐというのとちょうど同じでございます)」と述べた、ということです。

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