わ‐かい【和解】
[1] 〘名〙
※
史記抄(1477)六「言は雖有疑心然れども事已、和解しつるうへはと云義なり」 〔史記‐韓王信伝〕
② 心がなごやかになること。なごやかに打ちとけること。
※歌舞伎・成田山分身不動(1703)三「旋陀女といふ后、彼の
岩屋へ来り、色をもって誑かし、かの通力自在の仙人忽ち和解
(わかい)す」 〔荀子‐
王制〕
④
キリスト教で、神の恩恵として、人間に与えられるもの。
イエス‐キリストの
十字架の死による
贖罪によって成就されるとしている。
わ‐げ【和解】
〘名〙
① 他の国の言語を日本語で解釈すること。また、むずかしい文章や文字をわかりやすく解き明かすこと。また、その解釈。
※通俗酔菩提全伝(1759)凡例「今唯随て之を和解(ワゲ)し、更に文彩を用ず」
② 仲直りすること。わかい。〔新撰字解(1872)〕
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デジタル大辞泉
「和解」の意味・読み・例文・類語
わ‐げ【和解】
1 「わかい(和解)1」に同じ。
「君の―を勧むるや誠に謝すべしと雖も」〈織田訳・花柳春話〉
2 外国文を日本語で解釈すること。また、その解釈。
「阿蘭陀の書をも―なしたらば」〈蘭学事始〉
わかい【和解】[書名]
志賀直哉の中編小説。大正6年(1917)10月、「黒潮」誌に発表。翌年刊行の作品集「夜の光」に収録。著者自身とその父親との、不和と和解を描いた私小説。
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和解【わかい】
(1)民法上,当事者が互いに譲歩して,その間の争いをやめる義務を負う契約(民法695条)。いわゆる示談は,多く和解の性質をもつ。(2)民事訴訟法上,和解が裁判所の関与の下になされる場合を裁判上の和解というが,これには次の2種がある。民事紛争は自治的に解決されることが望ましいから,裁判所は訴訟中にも当事者に和解をすすめ,これで成立した和解を訴訟上の和解というが,紛争当事者には起訴をする前にも裁判所で和解をする道が開かれ,この和解を起訴前の和解(または即決和解)という。和解が成立すると和解調書が作られるが,これは確定判決と同一の効力をもつ(新民事訴訟法267条)。(3)労働法上は労働委員会が不当労働行為事件の審理の際に,適当と思われるときはいつでも当事者に対し和解を勧告することができ,和解が成立すれば紛争はその和解内容に従って解決する。
→関連項目協定|受命裁判官|処分権主義|調停
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普及版 字通
「和解」の読み・字形・画数・意味
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和解
わかい
compromise; Vergleich
当事者が対立する主張を互いに譲歩し合って,その間の紛争を当事者間の話合いによって解決することを約束する契約。民法の規定によれば,和解は当事者双方が互いに譲歩し合って,争いをやめることを約する契約 (695条) であるとされるから,一方だけが譲歩する場合,和解ではない。和解は契約である以上,当事者が自由に定められる。したがって,互いの譲歩の結果,真実の権利関係と一致しない合意が行われても,和解の効力には影響がなく,かえって和解によって新たな権利関係が生じたものとされる。和解は訴訟提起前に裁判所で当事者がすることも,また紛争が訴訟となったのちに行うこともできる。このほか,裁判所で行われる民事調停,家事調停なども,当事者間の和解を基礎とする紛争処理方式である。
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わかい【和解】
紛争の当事者が互いに譲歩して紛争を自主的に解決すること。法律上,民法上の和解と裁判上の和解に大別される。 民法上の和解は,当事者が互譲によってその間に存する争いをやめることを内容とする契約である(民法695条)。AのBに対する債権額につき,Aは100万円だと主張し,Bは50万円であるといって争い,結局70万円で折り合う,などというのがその例である。民法上の和解は示談とも呼ばれる。和解の対象となる争いは原則としてなんでもよいが,身分関係の争い(たとえば,親子関係の確認請求)のように当事者が自由に処分しえない権利関係は和解の対象とならない。
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知恵蔵
「和解」の解説
和解
民事上の紛争を当事者が互いに譲歩し合って自主的に解決すること。裁判によらずに当事者の話し合いで解決する民法上の和解は、示談とも呼ばれ、交通事故による損害賠償紛争などの多くはこの方式で解決されている。裁判上の和解には、紛争防止などのために簡易裁判所に申し立てる即決和解ないし起訴前の和解と、訴訟の途中で裁判官の勧めに応じたりして当事者が合意する訴訟上の和解とがある。近年では、地方裁判所に係る民事訴訟事件の3割強が和解で終了しており、判決と並んで、民事訴訟事件処理の両輪とされる。
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世界大百科事典内の和解の言及
【裁判】より
… ところで,一般に特定の事件の法的争点に結着を与えることは,第三者によって示された判断がそのまま当事者を拘束するものとして扱われるという,裁判に典型的な方式(裁定)によるほかに,次の方式によってもなされうる。すなわち,両当事者がある解決案(たとえば,一方が責任を認めてある額の賠償金を支払うといった)に同意し,この同意が以後当事者を拘束する最終的な決定として扱われるという方式(和解)である。そして,この和解が第三者の関与の下に行われ,かつ第三者が自己の判断を当事者に示し,または同意を促すという場合がある。…
【贖罪】より
…第2イザヤは〈神のしもべ〉と呼ぶ仲保的な存在の死を通して贖いが成ることを告げた(《イザヤ書》53章)。 そこでキリスト教においては,罪の赦(ゆる)しは終末的な神の自由な恵みであるとともに,キリストの十字架による一回的なできごとであるとし,これを〈贖い〉〈償い〉〈なだめ〉〈赦し〉〈解放〉〈和解〉などのさまざまの語で呼んでいる。英語のatonementは一体となること,reconciliationは交わりの回復を,ドイツ語のVersöhnungはなだめることを意味するが,これらはみな原意を離れ,十字架のできごとに結ばれて比喩化される。…
【内済】より
…もめごとなどを表沙汰にしないで解決すること。とくに江戸時代,和解することをいう。広義には裁判外の示談も内済というが,裁判上の内済は,奉行所の承認手続(済口聞届(すみくちききとどけ))を経ることによって判決(裁許(さいきよ))と同様の効力が与えられる。…
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