漢語・外来語に対し、日本語本来の語。「やまとことば」ともいう。本来、第一音節には濁音およびラリルレロが来ない。ダク(抱)はイダク等、バラ(薔薇)はウバラ等から、中古以後転成した語形である。和語は、「木(き)」「血(ち)」「谷(たに)」「聞(き)く」「見(み)る」など1、2音節語が多く、複合によって語が増加する。複合語は和語と和語または接頭語・接尾語とからなり、下の語の頭音が濁音化することがある(例、谷〈たに〉川〈がわ〉)。また、上の語の末尾の音が変わることがある(例、酒〈さけ〉→酒〈さか〉屋)。和語は漢語と複合することがある。漢語が上のもの(例、悪玉〈あくだま〉、縁組〈えんぐみ〉等)を重箱読(じゅうばこよみ)、和語が上のもの(例、相客〈あいきゃく〉、初陣〈ういじん〉等)を湯桶読(ゆとうよみ)という。外来語との複合もある(例、「消しゴム」「マッチ箱」等)。和語には活用のない語(体言・副詞・助詞等)と、活用のある語(動詞・形容詞・助動詞等)とがあるが、漢語・外来語はおもに名詞・形容動詞語幹等、活用のない語に限られ、和語の「する」「だ」(文語は「す」「なり」「たり」)をつけて初めて述語・修飾語となりうる。活用語尾・助動詞・助詞はすべて和語であり、文法機能の中枢は和語が独占し、この性格は古代から現代まで一貫している。和語の異なり語数は平安時代には和文で約9割、漢文訓読文で4割以下であった。中世末以来欧州諸語が、明治初期に漢語が増加し、近時は英語の外来語が急増しているが、和語が文法機能を堅持している点はすこしも変わらない。
[築島 裕]
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