唐犬(読み)トウケン

デジタル大辞泉 「唐犬」の意味・読み・例文・類語

とう‐けん〔タウ‐〕【唐犬】

江戸初期に渡来した舶来犬の一種。大形で、主に猟犬として大名に飼われた。オランダ犬。
唐犬びたい」の略。

から‐いぬ【唐犬】

中国産の犬。また、舶来の犬。こまいぬ。

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精選版 日本国語大辞典 「唐犬」の意味・読み・例文・類語

とう‐けんタウ‥【唐犬】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 近世初期に渡来した舶来犬の一種。非常に大形で、力が強い。主として狩猟に用いられ、当時の諸侯の間で多く飼育された。オランダ犬。〔日葡辞書(1603‐04)〕
    1. [初出の実例]「たうけんの耳の垂れたる如く」(出典:仮名草子・都風俗鑑(1681)二)
  3. とうけんびたい(唐犬額)」の略。
    1. [初出の実例]「額(ひた)ひは唐犬にして」(出典洒落本・無陀物語(1781))

から‐いぬ【唐犬】

  1. 〘 名詞 〙 中国産の犬。舶来の犬。
    1. [初出の実例]「おほかみと唐犬かとあしとくゆく」(出典:御伽草子・福富長者物語(室町末))

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世界大百科事典(旧版)内の唐犬の言及

【イヌ(犬)】より

…マスチフ型の大型犬の新奇さとともに,彼らの犬愛好ぶりも大きな注意を引いたのである。これら新種の猛犬は,唐犬と呼ばれて,大名たちの間で贈答され,猟に利用されるとともに,その権威を誇示するものともなった。 17世紀初頭には,将軍,大名の間に鷹狩りが流行したが,彼らは多数の猟犬を飼育し,また領民から鷹餌用の犬を徴した例も多い。…

※「唐犬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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