嘉祥(読み)カジョウ

デジタル大辞泉 「嘉祥」の意味・読み・例文・類語

か‐じょう〔‐ジヤウ|‐ヂヤウ〕【×嘉祥/×嘉定】

室町時代末から始まった年中行事。陰暦6月16日に疫病を防ぐため、16個のもちや菓子を神前に供えてから食べた風習。江戸時代には主君家臣に菓子を賜る行事となり、民間では16文で菓子を買って笑わずに食べる風習となった。名称は、年号嘉祥かしょう、または室町時代に用いられていた宋の嘉定通宝によるものという。「嘉定通宝」の略称嘉通」が「勝つ」に通ずることが武家に喜ばれた。嘉祥食い。かぞう。

かしょう【嘉祥】[年号]

平安初期、仁明にんみょう天皇文徳天皇の時の年号。848年6月13日~851年4月28日。

か‐しょう〔‐シヤウ〕【×嘉祥】

めでたいしるし。瑞祥ずいしょう

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精選版 日本国語大辞典 「嘉祥」の意味・読み・例文・類語

かじょうカジャウ【嘉祥・嘉定ヂャウ】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 古く陰暦六月一六日、疫を除くためといって神に供えた菓子または餠を食べた風習。この時の菓子または餠の数は一六個であるため、後には銭一六文で買って食べるようになった。室町末頃よりの風習で、名称は、これが行なわれ始めたとする仁明天皇、嘉祥元年(八四八)の年号によるともいい、また、室町幕府で用いた宋銭、嘉定通宝によるともいう。戦国時代から江戸時代にかけて、「嘉通」を「勝つ」に通わせて吉祥とし、同通宝一六枚で食物を買い六月一六日に贈答した。嘉祥祭。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「参昨神事御礼嘉定本所へ」(出典:鈴鹿家記‐応永六年(1399)六月一六日)
  3. 江戸幕府年中行事の一つ。陰暦六月一六日、将軍大広間に出て、目見(めみえ)以上の士に菓子一種ずつを賜う式。
    1. [初出の実例]「嘉定御祝之節、布衣以下之寄合五百石以上は登城、五百以下之分者不出仕候間」(出典御触書寛保集成‐四・正徳二年(1712)六月)

か‐しょう‥シャウ【嘉祥】

  1. [ 1 ] めでたいしるし。幸運の徴候瑞相。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
    1. [初出の実例]「天馬の聖代に来る事第一の嘉祥(カシャウ)也」(出典:太平記(14C後)一三)
    2. [その他の文献]〔漢書‐匡衡伝〕
  2. [ 2 ] 平安時代、仁明天皇の代の年号。承和一五年(八四八)六月一三日瑞祥(ずいしょう)により改元。嘉祥四年(八五一)四月二八日に仁寿(にんじゅ)と改元。「続日本後紀」によると、承和一五年に豊後国大分郡擬少領膳伴公家吉が白亀を大宰府に献じたので、この瑞祥により改元したという。

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日本の元号がわかる事典 「嘉祥」の解説

かしょう【嘉祥】

日本の元号(年号)。平安時代の848年から851年まで、仁明(にんみょう)天皇、文徳(もんとく)天皇の代の元号。前元号は承和(じょうわ)。次元号は仁寿(にんじゅ)。848年(承和15)6月13日改元。豊後国(大分県)から白亀が献じられたことを瑞祥(ずいしょう)として行われた。◇「かじょう」とも読む。

かじょう【嘉祥】

⇒嘉祥(かしょう)

出典 講談社日本の元号がわかる事典について 情報

普及版 字通 「嘉祥」の読み・字形・画数・意味

【嘉祥】かしよう

吉祥。

字通「嘉」の項目を見る

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