デジタル大辞泉
「囲い込み」の意味・読み・例文・類語
かこい‐こみ〔かこひ‐〕【囲い込み】
1 外へ出ないよう囲いの中に入れること。中に取り込むこと。「羊の囲い込み」
2 他者に取られないよう確保すること。「人材の囲い込み」
3 ⇒エンクロージャー
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かこい‐こみかこひ‥【囲込】
- 〘 名詞 〙
- ① 囲って中にとり込むこと。また、その囲っているもの。
- ② 江戸時代、自分の土地や山林の周辺にある別人の所有地を、断わりなく自地へとり込む行為。
- [初出の実例]「一他之地先を囲込は、為レ返レ之 但、囲込之仕方於二不埒一は、其年貢も為レ収也」(出典:徳川禁令考‐後集・第一・巻一〇(江戸中‐後))
- ③ ( [英語] enclosure の訳語 ) 一五世紀末から一九世紀初頭に、ヨーロッパ、特にイギリスで、領主や大地主が、牧羊や大農場経営を行なうため、広大な土地を占有し(囲いこみ)、農民を土地から追い払ったこと。農業資本主義を確立する契機になったといわれている。エンクロージャー。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
囲い込み
かこいこみ
enclosure
共同利用が認められている耕作地・森林や未開墾 (みかいこん) 地などを柵 (さく) ・生垣 (いけがき) などで囲み,他人の利用を認めない私有地であることを表示する行為
中世末期のヨーロッパ,特にイギリスで,領主や地主が牧羊業や集約農業を行うために起こした。英語では「エンクロージャー」と訳され,第1次と第2次がある。
【第1次】15世紀半ばから17世紀にかけて,マニュファクチュアの発達と羊毛価格の高騰がみられたイギリスで非合法的に行われた。中部諸州で盛んで,最盛期にはイギリス全土の2.76%にも達し,この状態をトマス=モアはその著『ユートピア』の中で,「羊が人間を喰う」と描いて批判した。
【第2次】17世紀半ばから19世紀半ばにかけて,農業経営の合理化と農地個人主義の確立のため,議会が奨励する合法運動として行われた。
【意義】第1次囲い込みは大量の浮浪人を出し,第2次囲い込みは農民を大農場での農業労働者や工場での工業労働者とし,資本主義的大農経営や産業革命の発達に大きな影響を与えた。
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世界大百科事典(旧版)内の囲い込みの言及
【エンクロージャー】より
…土地の周囲を生垣,石垣,土手等で囲い込むこと,あるいは囲込み地のことをさし,単に〈囲込み〉ともよぶ。開放耕地制度下における共同体的土地所有・利用(共同耕作,共同採草,共同放牧等)を廃止し,土地の私的所有,個人的利用を実現するために行われたものであり,イギリス農業の近代化にとってきわめて重要な役割を果たした。…
※「囲い込み」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」