ず‐しき ヅ‥【図式】
〘名〙
① 物の形を写して図にした形式。図取りの型。
※浮世草子・本朝浜千鳥(1707)一「大極の図を得て始めて男色の道を悟り、図式をもってひろめたもふに」
※授業編(1783)七「林周文が纂せる詩則などの中にも亦図式(ヅシキ)ありて」
③ 図に書いて説明するときのように、物事の関係を単純化し、
類型にあてはめたもの。
※小説の方法(1948)〈
伊藤整〉日本の方法「この図式を社会的現実の場に拡大すれば、そのまま
革命の図式となる」
④
哲学で、
概念の関係を示すために書かれた
記号・図。特に
カントの先験的図式。認識過程で、感性的
直観と判断形式(カテゴリー)を仲介するもの。純粋直観としての
時間をさす。〔
哲学字彙(1881)〕
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デジタル大辞泉
「図式」の意味・読み・例文・類語
ず‐しき〔ヅ‐〕【図式】
1 物事の関係をわかりやすく説明するために書いた図。「流通機構を図式で示す」「図式化」
2 カント哲学で、純粋悟性概念と感性的な直観とを媒介するもので、純粋直観としての時間。
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図式
ずしき
地図の作成において、その規格、精度などを統一するために、表示する事項、使用する記号の寸法や色、文字その他について定められたいっさいの約束をいう。国土地理院発行の縮尺2万5000分の1や5万分の1の地形図の場合、図式は明治以来、何回も改訂されている。なお、図式という語は、一般的には、基本となる見取図、あるいは物事の関係を説明するために考案された図という意味でも用いられる。
[五條英司]
『日本国際地図学会編『地形図図式の手引き』新版(1990・日本地図センター)』▽『日本地図センター編・刊『地形図図式画報』第3版(1996)』
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図式
ずしき
scheme; Schema
ギリシア語のスケーマ schēmaに由来し,哲学的に重要な概念としてこの言葉を使ったのはカントである。彼は『純粋理性批判』で感性的直観と純粋悟性概念 (範疇) とを仲介するものとして先験的図式を考え,空間は時間に帰せられるところから,時間と範疇との結びつきにおいて量,質,関係,様相の図式を説いた。科学理論では,図式は理論の図解化の一方法とされ,たとえば図表の形で表わされる。論理学では,推論式を記号や図で表わしたものを図式という。
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世界大百科事典内の図式の言及
【地図】より
…地図の図郭外には,これらの地図記号の説明がつけられているので,これをよく理解したうえで地図を読むことがたいせつである(図1)。 地図の図法,縮尺,地図記号など地図を構成する諸要素,さらに地図作成のための測量法や調査法,あるいは準拠資料などとその適用法などを一括して,地図の図式という。地図の図式は,地図を建物にたとえればその設計書である。…
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