国際連合大学の略称。1969年9月にウー・タント国連事務総長が提唱し,73年国連総会が国連大学憲章を採択して成立した,国連とユネスコの共同支援のもとに活動する独立した学術機関。大学本部は74年12月東京に開設された。同憲章は国連大学を〈国連憲章の目的を追求し,原則を促進するために,研究,大学院レベルでの研修,及び知識の普及に携わる,学者・研究者の国際的共同体である〉と規定する。このように国連大学は,通常の意味でのキャンパスのある大学ではなく,学生も教授陣も持っていない。大学の活動は,先進国および開発途上国に所在する研究・研修センター(直属機関)と一定の協定により連携協力する提携機関の世界的なネットワークを通じて行われ,その活動の企画・総括を東京の国連大学センターが行っている。現在,プログラムは〈中期展望(1982-87)〉に沿って次の5分野で遂行されている。(1)平和,安全,紛争解決および世界の変容,(2)世界経済,(3)飢餓・貧困,資源および環境,(4)人間と社会の開発および異なる民族,文化,社会体制の共存,(5)科学技術とその社会的倫理的諸問題。東京の大学センターには,〈開発研究部門〉〈地域・世界研究部門〉〈世界学習部門〉の三つのプログラム部門が置かれ,学術情報局,広報局,行政事務局,対外開発担当局がその補佐をしている。研修はとくに開発途上国の大学院学生を対象として,世界各地の大学・研究所や提携機関で行われている。
執筆者:内田 孟男
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国連とユネスコの共同支援により活動する研究・研修機関。略称UNU。1969年(昭和44)の国連総会でウ・タント事務総長が提唱し、72年の総会においてその設立が承認された。翌年12か条からなる国連大学憲章が採択され、本部は東京と決定。74年、初代学長にニューヨーク大学学長J・M・ヘスターが任命された。75年から東京・渋谷の暫定的本部で活動してきたが、92年(平成4)7月渋谷区神宮前に恒久的本部施設が完成し移転した。国際的研究ネットワークの推進、世界的な重要問題についての共通理解の促進、国際的協力体制の組織化による各国別研究・研修活動の助長、開発途上国の研究・研修機能の強化を設立目的とする。一般の大学とは性格を異にし、教官は国連大学プロジェクトに携わる各国の優れた専門家で、学生はフェローとして研修を受ける若い研究者である。活動資金は各国政府、財団、個人などからの寄付による。地球全体が大学のキャンパスで、東京の大学本部総括のもと、世界各地の国連大学研究・研修センターおよび各種プログラムや、世界各国の学術機関および研究者との連携・協力によって地球規模の諸問題の解決に取り組んでいる。2000年現在、「平和とガバナンス」および「環境と持続可能な開発」が代表的プロジェクトである。現学長(第4代目)はオランダのJ・A・ファン・ヒンケル。国連大学直属の研究機関として、世界開発経済研究所(フィンランド)、新技術研究所(オランダ)、国際ソフトウェア技術研究所(マカオ)、アフリカ天然資源研究所(ガーナ)、国連大学高等研究所(東京)が設置されており、これらの機関の研究成果が国際交流に果たす役割も注目されている。
[前田耕司・末永ひみ子]
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(最上敏樹 国際基督教大学教授 / 2007年)
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1973年に設立された国際連合の補助機関。国連の目的に役立つ研究と大学院レベルの研修および知識の普及のための活動を行う。この機関の設立は日本の積極的な働きかけにより実現したので,本部は東京に置かれている。
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