デジタル大辞泉 「国際海洋法裁判所」の意味・読み・例文・類語
こくさい‐かいようほうさいばんしょ〔‐カイヤウハフサイバンシヨ〕【国際海洋法裁判所】
[補説]日本に関連した事件では、日本のみなみまぐろ調査漁獲に関してオーストラリア・ニュージーランドが同条約違反を訴え、同裁判所に付託した平成11年(1999)の「みなみまぐろ事件」、カムチャツカ半島沖のロシア海域でロシア当局に
国連海洋法条約に基づき、同条約の解釈や適用の違いから生じるあらゆる国・地域間の紛争を司法的に解決する国連機関。常設的な国際司法裁判機関の一つで、1996年に発足した。英語名の頭文字をとってITLOSと略される。裁判所はドイツのハンブルクにある。2019年3月末までに同裁判所に25件の紛争が持ち込まれ、13件の判決、9件の暫定措置命令、2件の勧告的意見が出ている。日本が関係する紛争は、1999年(平成11)に、オーストラリア、ニュージーランド政府が日本のミナミマグロ調査漁獲を条約違反であると訴えたミナミマグロ事件と、2007年(平成19)にカムチャツカ半島沖のロシア200海里内で日本の第88豊進丸(ほうしんまる)(乗組員と船体)、第53富丸(とみまる)(船体のみ)が拿捕(だほ)された事件がある。
同裁判所には、任期9年の独立裁判官(非常駐)が21人おり、3年に一度、3分の1ずつ改選される。日本は国際海洋法裁判所への最大の資金拠出国で、2018年予算で136万ユーロ(全予算の13.0%)を分担している。日本人の裁判官経験者は、東北大学名誉教授の山本草二(1928―2013。任期1996~2005)と駐アメリカ大使などを務めた元外務官僚の柳井俊二(1937― 。同2005~ )の二人。なお柳井は2011年10月から3年間同裁判所の所長を務め、2014年に裁判官に再任されている。
国連海洋法条約に基づく紛争解決の手段としては、国際海洋法裁判所への訴えのほか、国際司法裁判所(ICJ)、仲裁裁判所、特別仲裁裁判所への訴えを自由に選択できる。
[編集部]
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