土俵(読み)ドヒョウ

デジタル大辞泉 「土俵」の意味・読み・例文・類語

ど‐ひょう〔‐ヘウ〕【土俵】

土をつめたたわら
土俵」の略。「土俵を割る」
議論交渉などが行われる場。「相手土俵に乗って話し合う」

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精選版 日本国語大辞典 「土俵」の意味・読み・例文・類語

ど‐ひょう‥ヘウ【土俵】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 土をつめた俵(たわら)。土嚢(どのう)。〔室町殿物語(1706)〕
    1. [初出の実例]「的場をや作るどひゃうのうつほ草〈弘行〉」(出典:俳諧・糸瓜草(1661)一)
  3. 相撲土俵場
    1. [初出の実例]「土ひゃうからしろうとをよぶきうな事」(出典:雑俳・川柳評万句合‐天明四(1784)八月一五日)
  4. 比喩的に、議論や話し合いなどが行なわれる場をいう。→土俵に上がる
  5. どひょううつぼ(土俵空穂)」の略。
    1. [初出の実例]「うつぼに、とひゃうなどと申候もなし」(出典:岡本記(1544))

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改訂新版 世界大百科事典 「土俵」の意味・わかりやすい解説

土俵 (どひょう)

相撲をとって競技する相撲場のことで,〈土俵場〉ともいったが,現在は単に土俵という。土俵とは,本来,相撲場を構築するために使う土と小砂利の入った俵のことであるが,後に土盛りした四角い壇状の構築物全体を指していうようになった。17世紀末ころから相撲場に,土をつめた五斗俵を四角に巡らして地面の上に並べておき,この境界線の中で勝負を決めるようになった。それが元禄時代(1688-1704)に円土俵に統一され,やがて米俵を3分して細俵をつくり,土中に6分くらい埋め,それまで平地にあった土俵場を土を盛った高い壇上に築き,外側の縁にも外俵を四方に埋めて土止めとし,見物人に見やすいようにした。このように土俵の出現と相撲場構築の変化とは,それまでほとんど円土俵内で相手を倒して決めていた勝負のほかに,円土俵の外へ押し出したり,寄り切ったりする決り手を生んだ。なお,土俵のない相撲場は,平安朝末ころから〈方屋〉〈片屋〉といい,いまも土俵入りのことを〈方屋入り〉ということもある。現在の公開土俵は,一辺を6.7mとした正方形場所に土を盛ってつき固める。土は〈あらきだ〉など粘土質のものを使う。江戸時代から13尺(3.94m)の二重土俵が続いてきたが,1931年に15尺(4.55m)の一重土俵に改められた。

 〈土俵祭〉は,新しく構築した土俵の地鎮祭の一種で,大相撲では本場所初日の前日の朝10時前後に行われる。古く方屋開きといった。この儀式は,古代のころから農村に普及していた相撲に伴う習俗を伝え,五穀豊穣を祈願する意味と,豊作のとき神前に相撲を奉納する精神と形式が伝えられている。また地鎮祭としては,力士にけがや災害がないように,土俵安泰を地の神に願う祈りがこめられている。式の順序は,土俵中央に7本の幣を安置して供物を供える。土俵周辺のたまり席には,相撲協会の役員(審判員以上)が列席する。式の祭主は,立行司の木村庄之助か式守伊之助がつとめ,十両格以上の行司2人が脇行司としてこれに従う。いずれも白衣の神官姿である。まず脇行司の御祓(おはらい)が行われ,祭主の〈祝詞〉奏上があり,次いで土俵の四隅に幣をたて神酒を注ぐ。再び祭主の立行司が軍配を手にして土俵中央に座し,相撲故実と土俵祭の由来を読み上げる。これを〈方屋開きの言上〉といって,その内容は代々行司の口伝として伝えられている。次いで周囲の土俵の俵に神酒を注ぐ。最後に〈鎮物(しずめもの)〉,または〈うずめもの〉といって洗米,塩,するめコンブかちぐりの縁起物5品を紙に包んで水引をかけ,中央にかねて掘ってある15cm角の穴に埋めて地霊の捧物とする。この鎮物を御饌(みけ)という。次に関係者一同に神酒が回されて土俵祭が終わる。土俵祭が終わると控えていた呼出し連中が,西の花道から〈触(ふれ)太鼓〉をたたきながら2組入場し,土俵下を左回りに3周したうえ,市街に繰り出して,明日から相撲が始まることを触れ歩く。町へ出るのは2柄(がら)の太鼓であるが,途中に待機している5柄の太鼓は,それぞれの受持ちの区域に分かれて,夕暮れまで市中を触れ歩く。太鼓が町へ出る日なので,土俵祭の日を,ただ単に〈太鼓〉ともいっている。なお,土俵の四隅に立てた幣は,場所中春夏秋冬を表す4色の房(屋外では四本柱)に結んでかかげ,四季の神々が土俵に神やどりするという古いしきたりが守られている。あと3本は館内の神棚に祭っておく。

 〈土俵手打式〉は,千秋楽最後の行事で本場所を無事に打ち上げたことを祝う式であり,この場所,前相撲から新序に出世した新弟子を祝福する意味がある。土俵の円内に沿って出世力士と審判員が輪になって並び,神酒を回して飲み,呼出しの柝(き)の音に合わせて一同は手を打って締める。終わると審判員の1人が,新弟子たちに胴上げされ,千秋万々歳でこの場所の幕がおりるのである。
相撲
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百科事典マイペディア 「土俵」の意味・わかりやすい解説

土俵【どひょう】

相撲の勝負を競う場所。土俵が出現するのは17世紀末。それ以前の相撲に土俵はなかった。最初の土俵は,土を入れた五斗俵を四角形に並べ,これを境界線として,この中で勝負を決めるようになった。元禄時代(1688年−1704年)になると円形の土俵に統一され,盛土の上に土俵を設けるこんにちの土俵の原型ができあがった。以後,土俵の外へ押し出したり寄り切ったりという決り手が生まれ,競技としての興味を増した。時代により形式は異なるが,現在は一辺545cm(18尺)の正方形に土を盛り,内径が455cm(15尺)になるように土俵(つちだわら)(米俵を3分して土を詰めたもの)を円形に埋め込む。かつては土俵の四隅に四本柱(しほんばしら)を設けたが,1952年秋場所以後,房(ふさ)に代わった。→土俵入り
→関連項目沖縄相撲手数入

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知恵蔵 「土俵」の解説

土俵

20個の小俵で作られる、直径4.55mの円。四方に1俵ずつ、外側にずれた位置に据える徳俵がある。土俵は1辺6.70m、高さ34〜60cmの台形の土台の上に設けられる。土俵中央の仕切り線は70cmの間隔で引かれている。土俵の外側には約25cmの幅で、力士の踏み越しなどを判定するために蛇の目といわれる砂が敷かれる。土俵がこの大きさになったのは、1931年。当時に比べて力士が大型化し、土俵を広げるべきとの意見があるが、まだ実現していない。

(根岸敦生 朝日新聞記者 / 2007年)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「土俵」の意味・わかりやすい解説

土俵
どひょう

相撲を取る規定の場所。 20俵の小俵を土中に6分を埋め,4分を地上に出し,内径 454.5cm (15尺) の円型につくるが,うち4俵が徳俵である。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「土俵」の意味・わかりやすい解説

土俵
どひょう

相撲

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世界大百科事典(旧版)内の土俵の言及

【相撲】より

…日本固有の格闘技。〈まわし(ふんどし)〉を締めただけの裸体の2人の競技者が,素手で土俵上において勝負を争い,相手を倒し,土俵外に出し合う力技である。相撲に似た格闘技は世界中にみられるが,日本の相撲は古代風俗のふんどしを唯一の〈装具〉とし,独自の発展をとげてきた。…

※「土俵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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