改訂新版 世界大百科事典 「土肥春曙」の意味・わかりやすい解説
土肥春曙 (どいしゅんしょ)
生没年:1869-1915(明治2-大正4)
新劇俳優。熊本県生れ。本名庸元(つねもと)。東京専門学校(のちの早大)文学科卒業後,読売新聞記者となる。1901年川上音二郎一座渡欧の際通訳として同行。05年坪内逍遥のもとで朗読研究会〈易風(えきふう)会〉を組織,初舞台をふんだ。06年文芸協会が設立されると演技主任として《ハムレット》に主演したほか,後期文芸協会では後進の演技指導にあたり,H.イプセンの《人形の家》,H.ズーダーマンの《故郷》などに出演,協会の幹部俳優として初期新劇界に活躍した。協会解散後は14年東儀鉄笛(とうぎてつてき)らと〈無名会〉を組織し中心俳優となった。イプセンの《ヘッダ・ガブラー》を翻案した《鏑木(かぶらぎ)秀子》(1910)の著作もある。
執筆者:藤木 宏幸
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報