地代とは土地を一定期間使用するときの使用料のことである。地代が発生するのは,土地が生産要素の一つとして価値の生産に貢献するからである。
たとえば,土地を借りてなんらかの事業を営む企業を考えよう。この企業の生産物の市場価格はこの企業の供給量には依存しないとする。このとき,労働や資本設備といった他の生産要素の使用量を一定とすると,この企業はどれだけの面積の土地を借りるであろうか。借地を追加的に1単位増やすときに得られる生産物の増加を土地の限界生産物あるいは限界生産性と定義しよう。限界生産物の市場価値は限界価値生産物と呼ばれる。企業はこの限界価値生産物が,地主に支払う地代よりも大きいかぎり企業の手元に利潤が残るから,追加的に借地面積を増やそうとするであろう。土地とともに用いられる他の生産要素を一定とすると,土地の限界生産性としたがって限界価値生産物は他の生産要素が増加しないために,土地使用量の増加とともに減少していくであろう。したがって,この企業は地代が低ければ低いほど,借地面積を増やそうとするであろう。すなわち,この企業の土地サービスに対する需要は地代が低下するにつれて増加する。このような個別企業の需要を社会全体に存在する企業について合計したものが,企業用地に対する社会全体の需要である。地代を縦軸に土地使用量を横軸にとると,社会全体の企業用地に対する需要曲線は右下がりの曲線で示される。
他方,企業用地の存在量は短期的には固定されていると考えられるから,企業用地の供給曲線はその存在量の点で垂直な曲線で示される。企業用地地代はいま述べた需要曲線と供給曲線の交点で決定される。以上から,企業用地地代は土地の限界生産性が高まれば上昇することがわかる。
つぎに,ある個人が土地を借りてそこに住宅を建てて居住する場合を考えてみよう。建物の容積を一定として,借地を追加的に1単位増やせば,この個人の土地使用から得られる効用は増加するであろう。この効用の増加分は土地の限界効用と呼ばれる。しかし,この個人は地代をそれだけ余分に支払わなければならないから,他の財・サービスの消費を減らさなければならない。この個人は,借地を追加1単位増やすときの限界効用が,それに伴う他の財・サービスの消費の減少によって失われる効用よりも大きいかぎり,借地面積を増やそうとするであろう。建物の容積は一定であるから,土地の限界効用は土地使用量の増加とともに低下するであろう。他方,地代が上昇すれば,借地を追加的に1単位増やすことによって,他の財・サービスの消費量をより多く削減しなければならないから,それに伴って失われる効用は増加する。したがって,この個人の土地使用量に対する需要も企業と同様に地代が低下するにつれて増加するであろう。かくて,社会全体の住宅用地に対する需要曲線は地代に対して右下がりとなる。
他方,住宅用地も短期をとってみるとその存在量は固定されていると考えられるから,その供給曲線はその存在量の点で垂直な直線で示される。住宅用地地代はいま述べた需要曲線と供給曲線の交点で決定される。
住宅地のサービスに対する需要は所得が増加すると増加するという意味で上級財である。したがって,住宅用地地代は住宅用地の供給量を一定として所得が増加するにつれて上昇するであろう。
いま述べた二つの例では,土地サービスの使用者は土地を賃借していたが,土地サービスを使用する者が土地を所有している場合にも,土地サービスの使用者は土地所有者である自分自身に地代(このような地代を帰属地代という)を支払っていると考えれば,上で述べた場合と同じように需要曲線を導くことができる。したがって,その場合にも上で述べた地代決定の理論を適用することができる。
さまざまな種類の土地の地代の高さは,そのときどきの各種の土地の存在量とそれらの土地の限界生産性ないしそれらの土地の限界効用(厳密には限界代替率)との相対関係で決まる。たとえば,ある地域に通勤鉄道が敷かれれば,その地域の土地の限界生産性と限界効用はともに高まるから,その地域の土地の地代は他の地域の土地の地代に比較して上昇する。このように,さまざまな土地の地代の差,すなわち,差額地代はそれらの土地の限界生産性や限界効用の差を反映している。それに対して,D.リカードの差額地代説によれば,優等地と劣等地の価値生産性の差額が地代になる。しかし,劣等地でもその存在量が固定されており,その土地の限界生産性あるいは限界効用がゼロでないかぎり,地代は生ずる。
いままでは,各種の土地の供給は短期的には固定されているとして地代の決定を説明してきた。しかし,長期的には,地代の低い土地は改変されて地代のより高い土地に転換されていく。たとえば,都市近郊の農地は周辺の宅地地代が上昇するにつれて宅地に転用されていく。このように考えると,長期的には各種の土地の供給曲線は地代に対して右上がりの曲線となる。かくて,地代は長期的にはこの右上がりの供給曲線とすでに述べた需要曲線との交点で決定される。ところで,土地の転用のためには,整地,土地改良,道路の建設などの投資が必要である。したがって,長期的に決定される地代のなかには,このような土地の転用のための投資に対する利潤の要素も含まれている。
執筆者:岩田 規久男
一般的に資本制社会における地代とは,一定の境界によって区画された,一定の面積と形状をもつ土地の一定期間の賃貸料のことをさしていう。地代は借地期限と地代の額を定めた借地契約にもとづいて,借地人から土地所有者=地主に支払われる。単位面積当りのふつう1年の地代の額でその大小を比較することができる。
農業地代,林業地代,鉱山地代など地代を生み出す産業別に区別された地代の呼名がある。
資本制地代は,(1)差額地代differential rent,(2)絶対地代absolute ground-rent,(3)独占地代monopolistic rent,(4)代替費用地代(=機会費用地代),に大別される。
さらに地代を歴史的にみると,先資本制地代と資本制地代に分けられ,先資本制地代はさらに,封建地代と過渡的地代形態に区別される。そして,封建地代は歴史的発展の順序に従って,(1)労働地代,(2)生産物地代,(3)貨幣地代,に区別される。封建領主が封建農民から,武力,領主裁判権等を基軸とする経済外的強制にもとづいて収奪する賦役労働,貢租(年貢)等が封建地代の具体的な姿である。
過渡的地代形態とは,封建的支配・隷属関係から解放された商品経済的地代ではあるが,資本家農業経営が平均利潤を超過する超過利潤部分を地代として支払うという状態にまで発展していない小農的地代で,第2次大戦前の日本の家族労作的小農経営の小作農民が支払っていた現物小作料も,このなかに含まれるものと考えられる。
土地の豊沃度の差と位置,つまり都市の中心市場からの距離の差にもとづいて,(1)豊度差額地代と(2)位置の差額地代の2種類がある。いずれもA.スミスの《国富論》によって,先駆的基礎が置かれた。豊度差額地代のほうは,アンダーソンJames Anderson(1739-1808),D.リカード,K.マルクスへと受け継がれて発展させられた。位置の差額地代は,J.H.vonチューネン,F.アーレボー,T.ブリンクマンらのドイツ農業経営経済学派によって純化発展させられた。
差額地代はさまざまの等級の異なった土地種類の同一土地面積に対する第一次投資によって形成される差額地代第Ⅰ形態(差額地代Ⅰ)と同一土地面積への累積的な追加投資である第二次投資,第三次投資等によって累積的に追加される地代増分である差額地代第Ⅱ形態(差額地代Ⅱ)が区別される。さらにある作物の形成する差額地代ⅠまたはⅡを前提として,これに別の種類の作物の形成する差額地代Ⅰ,Ⅱが上乗せされた形になる差額地代第Ⅲ形態が存在するという説があるが,これは《国富論》にすでに基礎的な叙述があり,そのことをマルクスも指摘しているもので,代替費用地代(機会費用地代)ともいわれている。
いま,A,B,C,D,E等の異なった種類の土地に,同一技術内容をもつ第一次投資が行われて資本家的農耕が行われているとする。そして単位生産物量当りの,平均利潤を含む生産費のそれぞれの土地上での平均的標準的水準(以下,個別社会的生産価格または生産費と呼ぶ)が,1万円から1万円刻みに増大すると仮定する。生産物に対する需要がD地の生産物を不可欠とする場合には,D地の生産物の個別社会的生産価格の4万円が農産物の市場価格を決定する市場生産価格となり,D地は一部が耕作され,一部に未耕地が残存することになる。
このD地を差額地代Ⅰの最劣等調整地(地代)と呼び,需要の増減に対応してD地の耕作部分が増減して生産物の供給を増減させ,D地に未耕地が残存するかぎり,D地の生産物の個別社会的生産価格によって,農産物の市場価格が決定されることになる。この場合に,A地では4万円-1万円=3万円,B地では4万円-2万円=2万円,C地では4万円-3万円=1万円,の地代が単位生産物当りに形成される。これに土地単位面積当りの生産物量を乗じたものが豊度差額地代Ⅰである。
中心に市場をもつ唯一の都市がその地域の中央に存在し,豊沃度一定,生産方式=技術一定で,位置の差に関係なく土地単位面積当りの投資量,年間生産費(平均利潤を含む),生産物量等が一定で,生産物単位量当り生産費は,どこでも一定と仮定する。土地の位置,つまり中心市場からの距離の差によって生産物の市場までの運搬費が異なってくる。中心市場の需要量によって,耕境(位置の最劣等調整地)までの距離が決定される。中心市場までの運搬費が最大となる耕境の生産物の,運搬費を含む単位生産費によって生産物の市場価格が決定される。耕境以内の土地では,耕境の生産物に対して,中心市場までの運搬費が少なくてすむ部分だけ,生産物当りに超過利潤が発生し,これが地代に転化して位置の差額地代第Ⅰ形態が形成される。
庭先価格とは農家の庭先における農産物価格のことで,豊度差額地代の場合には絶対に現れてこない概念である。都市の中心市場における農産物の市場価格から,都市の中心市場までの農業生産物の運搬費を差し引いたものが,庭先価格または地方価格である。このことはチューネンが《孤立国》で初めて解明した。庭先価格は都市中心市場までの運搬費を除く純粋の生産費+地代に等しい。
庭先価格より収穫費(利潤を含む)を差し引いたものが畑に植わったままの農産物価格となる。林業の場合,都市の中心市場での素材=丸太価格から,都市までの運搬費を差し引くと,丸太の産地価格が決定される。その産地価格から,伐採地点から山下までの運搬費と伐採造材費を差し引くと,立木価格が得られる。
立木価格は,立木生産費(つまり育成費)+地代に等しい。自然林=天然林の場合には育成費がゼロであるので,立木価格は地代に一致する。このことから,地下に埋蔵されたままの石炭,石油,鉱石,天然ガス等の価格は,その土地の地代と等しいことが推定される。この地代は鉱山地代であり,これは採掘のための利権料として現れるが,埋蔵資源の価格と一致する。中心都市の需要の増大によって位置の差額地代Ⅰと都市からの距離の関係を示す直線は,図1のように平行移動して,原点から遠ざかる。需要の増大によって埋蔵資源の価格または採掘利権料は増大するのである。庭先価格,立木価格,埋蔵資源の価格(または採掘利権料)等の経済原理的解明は,位置の差額地代論においてのみ解明可能であり,豊度差額地代では不可能である。そのために,位置の差額地代論を体系的に展開しなかったリカードやマルクスは,鉱山地代が採掘利権料と一致するものであり,それは同時に埋蔵資源の価格でもあることを解明することができなかった。
庭先価格がどの市場の市場価格に規定されて決定されるかによって,その土地がどの市場圏に属するかが決定される。庭先価格から純粋の生産費(都市までの運搬費を除く)を差し引いたものが,その土地の位置の差額地代であるので,位置の差額地代が,どこの市場価格によって形成されているかによっても,その土地がどの市場圏に属するかが決定されうる。
市場圏なる概念の原理的意味は,庭先価格および位置の差額地代が,多数市場のなかのどの市場価格によって支配されているかを示す領域のことだといってよい。位置の差額地代を考慮せずに市場圏の原理的な規定や解明はありえない。
これはリカードが《経済学および課税の原理》のなかで,最初の萌芽的な叙述をしている。彼は差額地代Ⅰ,Ⅱというような呼称をつくり出すこともせず,農産物価格形成の二つの様式を解明しただけであった。すなわち,第1に最劣等調整地の生産物の個別社会的生産費による農産物価格決定と,それに対応する優等地における地代の形成,第2に同一土地面積上への,生産性の漸減する累積的追加投資のなかで最も生産性の低い最終投資部分の単位生産物量の限界的生産価格による農産物価格の決定と,それによる先行投資部分における地代の形成,の2種類を区別して論じている。この価格形成様式の2種類の区別をそのまま差額地代ⅠとⅡの区別とする考え方が,差額地代Ⅱに対する第1番目の考え方である。このリカード理論を受け継いでマルクスは《資本論》で,差額地代第Ⅰ形態と第Ⅱ形態の呼称を初めて創出し,章を区別して論じているが,差額地代ⅠとⅡの本質的な区別を明りょうに確定しているとはいえない。そのため,今日に至るまで差額地代Ⅱの本質が何であるかが,はっきりしていない。
差額地代Ⅰの説明の際に仮定したA,B,C,D,E等の土地等級の同一単位面積上に第二次投資を行った場合に,追加生産物の単位量の限界的生産費がA=4.2万円,B=4.4万円,C=4.6万円,D=4.8万円であるとする。同一土地上に追加投資が行われるということは,生産方法が変化することを意味している。第二次投資の生産性は等級の上の土地のほうが必ずしも高いとは限らない点が,豊度差の場合の特徴である。D地が差額地代Ⅰの場合の最劣等調整地として機能していて,未耕地が残存している場合を出発点に考える。
需要が増大してD地の未耕地がすべて耕作されても,なお市場価格がD地の生産物の個別社会的生産価格を大きく上回っている場合,D地より等級が一つ下の土地E地の第一次投資の生産物の単位量の生産費が5万円であるとすると,まっさきに生産費のいちばん低いA地の第二次投資が行われることになる。その過程で供給の増大によって市場価格が下落して,A地の追加生産物の限界的生産価格4.2万円に一致すると,A地への追加投資の拡大が停止し,A地には未投下部分が残ることになる。そして,A地の追加生産物の限界的生産費4.2万円が新しい市場生産価格となり,最劣等地Dには生産物単位当り4.2万円-4万円=0.2万円の地代が形成される。この最劣等地に成立する地代を差額地代Ⅱとする考え方が,差額地代Ⅱについての第2番目の考え方である(日高普説)。
A地全部に追加投資が行われて未耕地が消失した後でもなお需要が満たされない場合には,次に安価に供給しうるB地の第二次投資が進行し,その過程で生産物の増産によって生産物の市場価格が下落し,B地の追加生産物の限界的生産価格4.4万円に一致したときB地への第二次投資の拡大は停止し,B地には第二次投資の未投下部分が残存することになり,市場価格はB地の追加生産物の限界的生産価格4.4万円に規定されることになる。B地は第二次投資の第Ⅱ形態的限界調整地となる。このときA地の第二次投資の追加生産物単位当りに4.4万円-4.2万円=0.2万円の超過利潤が発生し,これが地代に転化する。この第二次投資による地代の増大部分を差額地代Ⅱとする第3番目の考え方が,マルクスが指向していた考え方ではなかったかと思われる。
この場合,最劣等地D地には,第一次投資の部分に4.4万円-4万円=0.4万円の生産物単位当り地代が発生するが,第3番目の考え方によれば,この最劣等地Dに生ずる差額地代を第Ⅱ形態とするわけにはいかない。D地には第一次投資しか行われていないからである。
原生生産物(土地生産物)の第3番目の価格形成様式として,他の作物Bの形成する差額地代のⅠまたはⅡを前提し,それを費用の中にとり込んで,別の農産物Aの価格が形成される場合がある。このようにして形成されるAの価格に対して,Aの最劣等地に生ずる地代を,マルクスは差額地代といっている。これは第Ⅰ形態とも第Ⅱ形態の地代とも異なるので,差額地代Ⅲというしかない。この場合,Aの最劣等地に生ずる地代のみでなく,Aのすべての土地に形成される地代を代替費用地代または差額地代Ⅲという。この地代について,《国富論》に基礎的な叙述があり,《資本論》では,《国富論》から引用して,これを差額地代であるといっている。多種類の作物の土地競争または異なる産業の土地競争のあるところに広範に形成される地代であるので,無視することはできない。T.ブリンクマンは,位置の差額地代Ⅲについて明りょうに論じている。
農産物の都市の中心市場までの運搬費を除外する純粋の生産費について,第一次投資の生産物単位当りの本来的生産費にくらべて,第二次投資の生産物の限界的生産費(第Ⅱ形態的生産費)のほうが高い場合に位置の差額地代Ⅱが発生する。位置の最劣等調整地の生産物の(純粋の生産費+都市の中心市場までの生産物の運搬費)が市場規定的生産価格となる。これよりも,第二次投資の追加生産物単位当りの(純粋の限界的生産費+都市までの運搬費)が低くなる都市に近い地域では,第二次投資が行われ,それによる地代の増大が生ずる。この増大した地代部分が位置の差額地代第Ⅱ形態である。第二次投資による地代の累積の上にさらに第三次投資による地代増分が累積することもありうる(図2参照)。
同一土地面積当りの生産物の,同一距離当りの運搬費の高い作物または産業ほど,都市の中心市場に接近して立地する。その場合,中心市場に近い位置に立地する作物Aと遠い位置に立地する作物Bとの作物交代地点Mで,外側作物Bが形成している地代を費用の中にとり込んでAの生産物単位当りの第Ⅲ形態的生産価額が形成され,これによってAの価格が決定される。作物交代地点Mの内側には,図3のように,M地点でBが形成している地代の上に累積した形でAの地代が形成される。Aの形成する地代の全部を代替費用地代または差額地代Ⅲというが,これについては定説がないにもかかわらず,無視することのできない重要な地代の種類である。
これはスミスによって大ざっぱな基礎が置かれ,J.K.ロートベルトゥス,マルクスへと発展させられた。ロートベルトゥスは,原生生産物は原料を使用しないので,資本の有機的構成が低くなるとし,すべての生産物の労働価値どおりの交換を前提とし,原生生産物の生産資本の利潤率が製造業の資本の利潤率より高い部分が一般地代に転化するとした。しかし,ロートベルトゥスは,土地所有の力の作用についてまったくふれていない。
ロートベルトゥスの一般地代論を受け継いだマルクスは,農産物を生産する資本の有機的構成が,工業のそれよりも低いことを前提にして,農産物の価値が生産価格よりも高く,その高い価値部分の一部が土地所有の力により利潤率の均等化に参加することを妨げられて地代に転化したものが,絶対地代であるとした。しかし,ロートベルトゥスより無用の遺産を継承したもので,〈土地所有の力によって創出される地代〉という部分だけが,絶対地代論にとって必要な残されるべき部分である。差額地代が優等地または資源の有限性にもとづいて形成される地代であるのに対して,絶対地代は土地所有によって土地の使用制限をてことして人為的に差額地代部分以上につり上げられた地代であり,石油危機による石油価格の大幅引上げのごときものが,そのよい実例である。
これについては,スミスが《国富論》の中で比較的詳しく論じて以来,今日まであまり発展させられていない。生産物の需要に対して土地または資源の絶対的不足の度合が大きい場合,またはそのような希少な土地または資源を独占する資本によって生産制限が行われ,生産物の供給が制限され,最劣等調整地の生産物の個別社会的生産価格をはるかに上回る水準に市場価格が形成されている場合に発生する超過利潤が,資本の土地を借りようとする競争,または埋蔵資源の採掘権をめぐる競争によって地代(または採掘利権料)に転化したものが,独占地代である。土地または自然力の極度の希少性によるものとしては,ごく限られた土地部分でのみ生産可能な良質のブドウ酒用のブドウ畑の例をスミスはあげている。資本による生産制限の例としては,今日の南アフリカ共和国のダイヤモンド鉱山の例が考えられる。今日,ダイヤモンドの価格は大量の絶対地代や独占地代を含んで形成されているものと思われる。
差額地代の源泉が農業内部で生産された剰余価値である(生産説)か,社会の総剰余価値からの価格機構を通した分配部分である(流通説)かについて,1929年ころから激しい〈地代論論争〉が争われてきた。前者は(講座派)生産説,後者は(労農派)流通説といわれるが,67年の土地制度史学会の準備研究会で山田盛太郎が,流通説支持の立場を明示するに及んで,この論争に一つの決着がついたかにみえる。
資本の有機的構成の不可避的差異をてことして,利潤率の均等化のために,資本の有機的構成の低い農業部門から,高い工業部門に剰余価値が流出するが,優等地の有限性という使用価値的制約をてことして,剰余価値の一部が工業部門から,農業を含む原生生産物部門へ流出して地代を形成する。以上の二つの作用が相殺する結果,原生生産物の社会的価値が市場生産価格より高くなるというマルクスの想定は必ずしも成立しなくなる。そのため差額地代の源泉を農業内部で生産された剰余価値のみに限定する生産説が無意味であるのと同様に,絶対地代の源泉を,市場生産価格を上回る社会的価値の一部分の分与されたものとするマルクス説も無意味となる。
農業資本の有機的構成が,総資本の平均的構成よりも低いことを絶対地代の不可欠の成立条件とするマルクスの主張を廃棄したときに,絶対地代論の近代化と,その現実社会への適用が大きく前進することになる。つまり石油危機後の世界的不況と,日本資本主義の低成長化は,石油絶対地代の大幅の増大によって直接的にもたらされたものであるという現実の理解が可能となる。
経済学原理論では,地代を標準利子率で割って資本還元(擬制資本化)した大きさに地価が決定すると説明している。第2次大戦後日本の大都市の地価においては,この原理的な法則はまったく当てはまらない。日本の都市は,都心部分に商業・サービス業地が集中し,その周囲に住宅地域が広がっている。住宅地域の最外縁部が都市の限界地となっている。東京のような大都市においては,通勤距離2時間~2時間半くらいの地帯が持家限界地となって都市の終りとなっている。そこでは,少しでも安い土地を求める土地需要が大量に存在するのに対して,土地供給のほうは地主により抑制されているために,土地は売手市場となり,持家限界地の地価は土地需要者の借金能力をも含めた支払能力によって決定され,外側の農地価格に対して隔絶した高い水準の住宅地価が成立している。持家限界地より内側では,都市に近づくにつれ位置の有利性により地価は高くなっている。大部分の工業部門は都市の外側に押し出され,工業地の地価は住宅地よりはるかに低く,農地よりはるかに高い水準に決定している。
戦後は持家住宅の敷地の新規の賃貸借がほとんどなくなっているので,自由な地代の水準が形成されていない。
新沢嘉芽統は《地価と土地政策》により都心への通勤者の入居する貸家・木造賃貸アパートの限界地は,持家限界地よりはるかに都心に近い側に形成されていることを明らかにした。この貸家・木賃アパート限界地では,土地所有者である家主の競争によって,借家は借手市場となり,敷地の地代はほとんどゼロとなって,家賃の構成要素に入ってこない。貸家・木賃アパート限界地の内側の都心に近い側では,家賃の中に地代が一構成要素としてあらわれてくる。しかし,この地代部分を資本還元しても,敷地の地価よりはるかに低い水準となる。以上が新沢の市街地地価論の概略である。持家限界地の地価は,その外側の農地価格にくらべて隔絶して高いが,これは高い絶対地代の一括先取り形態とも考えられるので絶対地価と呼ぶことができる。住宅地域の内側の都心部分は商業・サービス業地となっているが,その部分の地価は,住宅地域の最も都心に近い部分の最高水準の住宅地価に上乗せした形で代替費用地代または差額地代第Ⅲ形態の一括先取り的な高い地価として形成されている。
土地同一面積当りの投資量という点でみると,マンションは,一戸建借家・木賃アパートに対して,第Ⅱ形態的な累積投資に当たるものと考えられる。一戸建借家にくらべれば,木賃アパートは第Ⅱ形態的累積投資を追加したものといえる。
分譲マンション限界地は,持家限界地の内側の都心から一定距離の地帯に形成され,賃貸マンション限界地は,貸家・木賃アパート限界地の内側の都心から一定距離の地帯に形成されていて,いずれも差額地代の第Ⅱ形態的限界調整地となっていると考えることができる。以上のように地価と地代の分裂は,戦後日本の都市の著しい特徴となっている。そして資本によってではなく,消費生活者としての個人によって支払われる住宅地地価を基礎として市街地地価が,地代の資本還元としてではなく直接的に形成されていることが今日の日本の市街地地価の特徴である。
執筆者:大淵 素行
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
土地を使用するについて支払われる賃借料をいうが、地代の概念規定はかならずしも統一されているわけではない。日本の現在の法制では、民法上地代とよばれるのは地上権の場合で、賃借権の場合には賃金または借賃といい、永小作権の場合には小作料という。経済学的には、地代を土地用益の価格ととらえ、土地の限界生産力の価値に等しいとする学説もあるが、普通は地代は「土地所有者が経済的に自己を実現する形態」とされ、封建地代と資本制地代という二つの地代範疇(はんちゅう)に分けられる。
[常盤政治]
封建地代とは、封建社会の領主が農民(農奴、隷農)から収取する地代で、労働、生産物、貨幣の形態をとる。労働地代は主として封建制の初期にみられ、領主直営地で農奴が行う賦役である。生産物地代は隷農の納める物納地代であり、貨幣地代は物納部分を貨幣化して納める金納地代で、封建地代解体の形態をなす。これら三つの形態は、封建的支配の強弱や商品貨幣経済の発達の程度に照応しているが、いずれの形態にせよ、封建地代の本質は、地代が剰余価値または剰余労働の唯一の支配的で正常な形態である点にある。そこでは、利潤範疇は成立せず、萌芽(ほうが)的「利潤」は地代の高さに規定される。
[常盤政治]
資本制地代は平均利潤以上の超過分であるから、その大きさは利潤の高さに依存する。地代が「利潤」を規定するのではなく、利潤によって地代が規定される点で、封建地代と決定的に異なる。資本制地代は差額地代と絶対地代という二つの基本形態からなる。差額地代はJ・アンダーソンによって発見され、D・リカードによって「科学的に定式化」されたといわれているが、その成立の根拠は次のごとくである。
[常盤政治]
「独占されうる自然力」を基礎として成立する超過利潤は、資本の生産条件を均等化する競争によってはなくならない。そこで資本は、この超過利潤を「独占されうる自然力」の所有者に、競争を通じて帰属させることによって、利潤率均等化法則を貫徹させる。このようにして地代に転化する超過利潤が差額地代である。したがって、これは、土地生産物部門だけでなく、およそ「独占されうる自然力」の利用によって超過利潤が成立するところにはすべて発生する。たとえば、蒸気機関使用の大多数の工場製品の生産価格(一般的生産価格)が115(100〈費用価格〉+15〈平均利潤〉)であるとする。簡単化のために費用価格=充用資本総額とすれば、平均利潤率は15%である。落流を利用する工場の費用価格は90ですむとしよう。しかし、製品は115という一般的生産価格で売られるから、落流利用工場の利潤は25(115-90)である。当該工場にとって平均利潤は13.5(90×15%)だから、11.5だけの超過利潤が得られる。この超過利潤は、落流利用工場の個別的生産価格(103.5)と一般的生産価格(115)との差にほかならないが、落流という「独占されうる一自然力」を基礎として発生したものであるから、資本の競争を通じて地代に転化する。これが差額地代である。だから、差額地代は「つねに、独占された自然力を自由にしている個別資本の個別的生産価格と、問題の生産部門一般に投下された資本の一般的生産価格との差から発生」し、商品の一般的生産価格のなかに規定的に入り込むのではなく、一般的生産価格の成立を前提としている。
ところで、蒸気機関使用工場の個別的生産価格が一般的生産価格となるのはなぜか。工場の圧倒的多数が蒸気機関で運転されるという前提によるものであろうか。ここに一般的生産価格規定は「平均原理」によるのか「限界原理」に基づくのかという問題がある。大内力(おおうちつとむ)(1918―2009)は、「落流」の例は限界原理とみても平均原理とみても差し支えなく、「平均原理と限界原理という対立的理解そのものが問題」で、前掲の例とは逆に、落流利用工場が圧倒的に多くても、社会的需要を満たすためにどうしても蒸気工場の生産物が必要であるならば、「再生産のために必要な労働量は、やはり115という市場価値を結果するしかない」といい、日高普(ひろし)(1923―2006)は、さらに推し進めて「優等条件の自然的制限性にもとづく超過利潤が差額地代であるということこそ『差額地代の一般的概念』なので」あり、「その制限性がたんに優等地の制限性である場合に第一形態が、そして最劣等地を含めた優等投資場面の制限性である場合には第二形態が成立する、という筋道のうえで、はじめて差額地代の一般的概念も理解できる」としている。
[常盤政治]
土地を不可欠の生産用具とする本来的農業において、豊度の異なる同一面積の土地に投下された等額の資本は相異なる結果をもたらす。たとえば50シリングの資本がA、B、C、Dというそれぞれ相異なる豊度の土地1エーカーずつに投下され、小麦収量はそれぞれ1、2、3、4クォーター、計10クォーターで社会の小麦の全需要を満たすことができるとし、資本の一般的利潤率(平均利潤率)を20%とすればA地の利潤は10シリング、B地=70シリング、C地=130シリング、D地=190シリングとなる。
社会の小麦需要を満たすためにA地の耕作も必要である限り、A地に投下された資本にも平均利潤がもたらされなければならない(さもないと、A地の耕し手がなくなり、小麦の供給不足→価格上昇→A地耕作というプロセスで、結局はそうならざるをえない)。
そこで一般的生産価格はA地の個別的生産価格で規定されることになり、1クォーター当り60シリングということになる。B、C、Dの小麦も同じ値段で売られるから一般的生産価格(=市場価値)総額は600シリングであるが、個別的生産価格(=個別的価値)はそれぞれ60シリング(計240シリング)であり、1クォーター当りではそれぞれ30、20、15シリングである。この一般的生産価格総額と個別的生産価格総額との差が差額地代にほかならないが、これは「虚偽の社会的価値」とよばれ、その源泉をめぐって、戦前から一大論争が展開され、それを農業内部で生産された剰余価値とみる「生産説」と、社会全体で生産された剰余価値の一部が流通の迂路(うろ)を通って実現されたものとみる「流通説」とが対立して今日に至っている。
[常盤政治]
第一形態が豊度の異なる諸地面に投下された諸資本の生産性の差から生ずるとすれば、同一地面に継続的に投下された資本の生産性の差から、差額地代の第二形態が生ずる。第二形態は第一形態を前提としてのみ成立すると考えなければならないが、この第二形態についても、戦後、第二形態そのものの概念内容をはじめ、収穫逓減(ていげん)・逓増とのかかわりにおいて、いろいろな論争点が浮かび上がっている。
[常盤政治]
差額地代は土地の豊度によるだけでなく、位置の差異からも生ずる。土地が、そこで産出される生産物の販売市場からどの程度離れているかによって、生産物輸送上の費用に差異が出てくるからである。市場に近いほど輸送費が安く、遠隔地ほど高くつくから、市場圏遠隔限界地の輸送費を含む個別的生産価格が市場調整的生産価格となり、市場近接地ではその近接の度合いに応じて輸送費が節減され、その分だけ超過利潤を発生させる。この超過利潤は地代に転化する。これが位置の差額地代である。
[常盤政治]
豊度や位置とかかわりなく土地所有の独占によって成立する地代である、といわれる。差額地代が最劣等地には原則として生じない(生ずる場合もある)のに対し、絶対地代は最劣等地にこそ成立する。絶対地代は土地所有の力によって成立し、価格の原因となる点で、価格の結果成立する差額地代と決定的に異なる。絶対地代の成立条件として、(1)農業資本の有機的構成の低さに基づく、価値>生産価格という関係の存在と、(2)土地所有の独占、という二つがあげられ、価値>生産価格であるから、価値の生産価格以上の超過分は本来なら他部門に流出して平均利潤の形成に参加するはずであるが、それを土地所有の力が農業部門に押しとどめて地代に転化させる、とされてきた。かくて絶対地代の源泉は、農産物価値の一般的生産価格を超える剰余価値とされ、絶対地代の上限は一般的生産価格を超える農産物の価値水準で、これを超える農産物市場価格の形成によって成立する地代は独占地代とされてきたのである。しかし、絶対地代と独占地代とを区別するものとして、農産物価格が、生産価格以上価値までであるか、価値以上であるかといった区別をあげることは、けっして説得力があるとはいえない。価値>生産価格という条件は絶対地代の成立にとってかならずしも不可欠の条件ではありえず、土地所有の力によって農産物価格がつり上げられて成立する地代を絶対地代、独占価格の結果生ずる地代を独占地代と規定することによって両者の区別を明確にしうる。両者の区別は、価格が価値以下か以上かに置かれるべきではなく、地代が価格の原因であるか結果であるかに求められるべきである。独占地代は価格の結果であるという点では差額地代との同一性をもつが、差額地代が一般的生産価格と個別的生産価格との差であるのに対し、独占地代は一般的生産価格以上に押し上げられた独占価格の結果であるという点で差額地代と異なる。
地代には、農耕地地代だけでなく、林業地地代、建築地地代、鉱山地代などがあるが、いずれもその成立の根拠および形成メカニズムは前述のような地代原理に基づいているということができる。
[常盤政治]
しかし、日本の地代を前記のような地代理論をそのまま適用して理解することはできない。農耕地地代に限っただけでも、農業経営が資本家的に行われているわけではないので、借地によって規模拡大を行う場合、借地料としての地代の高さは、主としてその地域の労働力市場の状況、したがって地場賃金の高さに依存するからである。そこでは一般に地代は賃金の高さに逆比例し、借地競争の程度に正比例する。建築地地代にしても、その土地が商業地か工場敷地か宅地かによって、その高さは異なる。その根底には位置の差額地代問題があるだけでなく、借地者の企業利潤の大きさや所得の高さにも依存することになるからである。
[常盤政治]
『大内力著『地代と土地所有』(1958・東京大学出版会)』▽『白川清著『価値法則と地代』(1960・御茶の水書房)』▽『日高普著『地代論研究』(1962・時潮社)』▽『井上周八著『地代の理論』(1963・理論社)』▽『常盤政治著『地代論』(杉本俊朗編『マルクス経済学研究入門』所収・1965・有斐閣)』▽『久留島陽三著『地代論研究』(1972・ミネルヴァ書房)』▽『久留島陽三・保志恂・山田喜志夫編『資本論体系7 地代・収入』(1984・有斐閣)』▽『花田仁伍著『農産物価格と地代の論理』(1985・ミネルヴァ書房)』
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…そして,古典派経済学の最後の巨峰はJ.S.ミルであり,その著《経済学原理》(1848)は古典派経済学の完成の記念碑である。 スミスは,商品の交換比率は生産に必要な労働量によって決まるという投下労働価値説を,土地所有と資本蓄積のない未開社会にのみ認め,土地所有と資本蓄積のある社会については長期的な需要と供給の均衡により,賃金,地代,利潤の自然率の和として商品の自然価格が決定されるものとした。しかしリカードは,若干の修正の必要を認めながらも,未開社会でなくても投下労働価値説が基本的には成立すると主張し,商品の交換比率は需要から独立であるとする。…
…一方,負担の点については,敷地年貢(地子)や,公権力・領主への役負担を免ぜられ,また共同体諸経費の分担も家持より軽減されていた。しかし,地借が家持や地主に対して支払う地代は,地借にとっては大きな負担であり,家持や地主にとっては,借家・店借からの店賃とともに,重要な収入源となった。地借は,自己の家屋を持つことから,借家・店借のような〈無産者〉ではなく,家屋を担保として金融をうけることができるなど,借家・店借より一段と高い地位・状態といえよう。…
…これが,町法改正,七分積金令と呼ばれるもので,以後幕末・維新期まで江戸の都市政策の根幹をなした。 幕府はこれに先だって,江戸の各町に1785年(天明5)から5年間の地代店賃(たなちん)上り高,町入用(ちよういりよう),地主収入等を書上げさせた。この結果,1年分の町入用は江戸全体で金15万5000両余に及ぶことがわかり,このうち3万7000両が節減可能とされた。…
…しかし《資本論》の体系の構成からいうと,このイデオロギーの面が,ネガティブに,裏面になっていて,イギリス古典学派の批判的展開としての経済学が,ポジティブに,表面に,出ている形になっている。
[イギリス古典派経済学]
A.スミスの《国富論》や,D.リカードの《経済学および課税の原理》によって代表されるイギリス古典派経済学は,確立しつつあった資本制商品経済社会の基盤に立って,社会各層の生活の基礎である賃金や利潤,地代などの所得のカテゴリーを,商品価格の構成要素として取り出し,それらの相互関係や運動を,商品の売買(=価格)に働く交換価値法則(労働価値説)によって説明しようとした。こうして資本主義社会の経済的編成とその運動法則を明らかにしようとする経済学の古典的なパラダイムができあがった。…
…市場で取引される商品の生産のために支出される費用。原材料・燃料動力費,人件費,利子・地代・家賃,特許料などの生産に直接使用される商品・サービスへの支出と,商品の販売・管理,本社業務など生産活動を間接的に補助・促進する支出とがある。さらに,生産設備,非居住用建物,構築物,輸送運搬機器などの前払いした固定資本財を生産に使用することに対する費用相当分の回収(あるいは前払いした費用の当期割当分)として,減価償却費と呼ばれる費用も生産費に含められる。…
…経済学上,土地は資本や労働と並ぶ生産要素の一つである。土地の生産要素としてのサービスを一定期間使用するときの対価は地代と呼ばれる。他方,土地は耐久的な生産要素であるから,財産所有者の資産選択の対象となり,ストックとしての土地そのものが売買される。…
※「地代」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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