地域区分
ちいきくぶん
もっとも包括的にいえば、地球の表面を、気候とか、資源とか、産物とか、社会や経済の活動とか、行政とかいうように、なんらかの指標に着目して区分したものをさす。人間の生活が営まれている生活空間という視点からすると、農業生産が主要な形態であった時代においては、相互に閉鎖的な、血統や言語や慣習などの同一性に基づく同質的地域が一般的な区分として用いられていた。生産力の高まりに伴う社会的分業の展開や商品交換関係の拡大とともに、都市を中心とした農村を含む相互依存的地域が基本的な社会=経済的な単位とされることが多くなり、機能的・結節的地域として重視された。今日の社会では、生産や消費の活動をめぐっての関係は国内的にも国際的にも複雑に入り組んでいるので、地域設定や地域区分の試みも、それらによって生じている諸問題を合目的的に解決する手段として計画的に設定される地域が大きな意味をもってきている。
[園田恭一]
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ちいきくぶん【地域区分】
全世界や国家,特定の範囲などの地表を,適当な指標により,いくつかの地域に区分すること。地球表面ないし土地空間は,岩石,土壌,水,大気,生物からなる自然複合体であり,人間の生活・居住空間においては,自然複合体を人間集団が利用し,加工し,組織した人間・環境系あるいは人間生態系である。人類の生活空間としての地球表面世界を地理学的に認識するためには,諸事象の不均等分布,気候帯,植生帯,土壌帯などの地域的配列,社会経済の地帯構造における空間的秩序に着目して,なるべく事実に即した客観的規準によって地域区分する必要がある。
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地域区分
ちいきくぶん
regionalization
地表を一定の規準に従って諸地域に区分すること。地域区分では,気候区,経済地域のように,なんらかの共通要素を規準とする等質地域の場合と,総合的な観点に立って行われる機能地域または統一 (結節) 地域の場合とが区別される。国,地方,都道府県の区分のように政治的,行政的な形式地域による場合とこれらの境界を考慮せずに,実際上の区分に基づく実質地域による場合がある。地理学では,実質地域によって地域区分することが望ましいとされている。
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地域区分【ちいきくぶん】
地表を適当な指標に基づいて,共通の特色や機能を有したいくつかの地域に区分すること。ホイットルセーによる農牧業地域区分や,ケッペンの気候区分が例として挙げられる。
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世界大百科事典内の地域区分の言及
【地域】より
…地域の代替語あるいは類語には,地区,区域,領域,圏域,地帯,地方などがあるが,相互の使い分けは一定していない。また地域の複合語としては,地域住民,地域社会,地域主義,地域計画,地域指定,地域性,地域区分など多数のものがあり,法律用語においても地域概念の重要性が高まり,〈地域〉は現代社会に関するキーワードの一つとなっている。
[均等地域と統一地域]
実質地域を画定する観点は,均等性と統一性との二つに大きく分けられる。…
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