精選版 日本国語大辞典 「地方議会」の意味・読み・例文・類語
ちほう‐ぎかい チハウギクヮイ【地方議会】
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地方公共団体に設置される審議・議決機関。地方自治に関する制度やその理念は、国によりかなり違っており、各国の地方議会の存在形態(組織や権限等)もその差異に応じて異なっている。
[平田和一]
日本における近代的地方自治制度は、1889年(明治22)の明治憲法の発布に前後して公布された1888年の市制、町村制、および1890年の府県制、郡制の制定によって本格的に発足する。議決機関である市町村会の条例の制定および改正に関する議決については、内務大臣の許可が必要とされ、議決事項も重要なそれには上級官庁の許可を必要とした。間接選挙による府県会には1929年(昭和4)まで条例等の制定権はなかった。大正デモクラシーの時代には1925年(大正14)の普通選挙制採用などが目につく。日本の地方議会は、中央による地方の官僚支配の政治装置のなかで位置づけられていた。
日本国憲法の下において、憲法第93条は、地方公共団体にその議事機関としての議会を設け、議会の議員は住民が直接にこれを選挙する旨定めている。住民代表機関たる地方議会は、地方公共団体の審議・議決機関である。この地方議会は、立法権その他広範な権限を有することなどにおいて国会とその性質を同じくするが、執行機関との関係においては、議会の執行機関に対する優越的地位が保障されているわけではなく、両者は原則的には独立対等の関係にある。議会には、議会が議員のなかから1人選出する議長が置かれ、議会を代表する。会議を行う組織として、最終的に意思決定を行う議員全員による本会議と、議決前に予備的に審議する委員会がある。委員会には常任委員会と特別委員会がある。いずれも条例によるものであるが、特別委員会は、会期中に限り、議会の議決により付議された事件を審議するにとどまる。地方議会の権限は、議決権(条例の制定・改廃権限、予算決定・増額修正権限など)および執行機関に対する各種の監視・統制権(事務に関する書類・計算書の検閲権および執行機関の事務の管理、議決の執行、出納の検査権、副知事・出納長などの人事についての同意権など)、自律権(正副議長などの選挙に関する権能、議会の内部組織権、会議規則の制定権、資格決定・懲罰などについて)に大別することができる。議会には、毎年条例で定める回数招集される定例会(なお、2010年の時点では、すべての都道府県と市議会は、条例で定例会を毎年4回と定めている)と、必要がある場合、その事件に限り審議するために招集される臨時会がある。地方自治法は、会議公開、定足数、過半数表決、会計不継続等の諸原則を定める。
[平田和一]
イギリスの地方公共団体には、地方議会(カウンシル)が置かれ、この住民によって選挙された議員(カウンシラー)によって構成されるカウンシルが地方行政一般の権限をもっている。すなわち、議決機関と執行機関の権能をあわせもっているといえよう。アメリカにおいて、連邦憲法は地方制度についてなんら規定せず、どのような地方制度を設けるかは各州の権限である。アメリカの地方議会は、州、郡、市、町、村ごとに置かれる。アメリカにおける市制についていえば、市長・市会型(市長も住民により直接選挙され、市会は立法機関、市長は執行機関として行政権を担う)、市会・支配人型(市会が立法権と行政権を担うが、1人の市支配人を選任して行政的職務を一任し、市会がその監督にあたる。市長は儀礼的存在で、市会の長が務める)などがあり、一様ではない。ドイツも連邦制をとり、地方制度も各ラント(州)によって異なるが、いずれも直接選挙による議会を有する。基礎的地方公共団体としての市町村には市町村議会があるが、議会と市町村長の関係は州によって異なる。市町村長が議会によって選任され、行政機関の長と議会の議長を兼ねる場合、市町村長が住民の直接選挙によって選出され、行政機関の長と議会の議長を兼ねる場合などがある(ほとんどの州は市町村長公選制に移行)。後者においては、議会との関係で市町村長の権限が強いといわれる。フランスの地方公共団体は、州、県、市町村があり、それぞれ州会、県会、市町村参事会を有する。中央集権的な行政機構はナポレオン以来フランスの特色であったが、1982年の「市町村、県および州の権利と自由に関する法律」が、三つの地方公共団体をそれぞれ固有の議会と公選制の首長をもつ自治体とした。
[平田和一]
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(北山俊哉 関西学院大学教授 / 笠京子 明治大学大学院教授 / 2007年)
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…議会内において議員は正副議長に選任された者を除いて,必ず一つの常任委員会委員に就任しなければならない。議員は地方議会の議決するべき事項のうち予算を除く事件について定員の8分の1以上の賛成があれば議案を提出できる。また,議決機関の一員として議会に付与されている調査権,検閲権,首長の不信任,特別職公務員の選任の同意などの権限を行使できるが,自己もしくは配偶者,父母,祖父母,子,孫,兄弟姉妹の一身上に関する事件,およびこれらの者が従事する業務に関係する事件の審議には参加できない。…
※「地方議会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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