デジタル大辞泉 「坩堝」の意味・読み・例文・類語
る‐つぼ【坩=堝】
2 熱狂的な興奮に沸いている状態。「会場が興奮の
3 種々のものが混じり合っている状態や場所。「人種の
[補説]作品名別項。→るつぼ
翻訳|crucible
物質を強熱するために用いられるわん(椀)形の耐火性容器。主として融解,焙焼(ばいしよう),煆焼(かしよう),灼熱,焼結,冶金などに用いられる。目的に応じて種々の形のものがあり,また取り扱う試料の種類,量その他に応じて各種の材質のものが用いられ,実験室用,工業用でも違いがある。
実験室では,白色磁器製のものが最も普通に用いられるが,その他材質の違うものとしては,アランダム,コランダム,アルミナ,石英,黒鉛,白金,金,ニッケル,銅,鉄,骨灰などがある。磁器製るつぼで,最も標準的なものは通常内容量10mlないし100ml,釉(うわぐすり)つきのもので1050~1100℃程度,素焼のもので1300℃程度までの加熱に耐えるが,急熱,急冷に弱く,割れやすい。通常の重量分析その他に多く用いられる。上記の欠点を補うため,溶融石英製のものもあるが,機械的な強度が劣り,また重量変動が大きく,定量分析には用いられない。またアルカリ融解,フッ化物などの取扱いには磁器製,石英製いずれも侵されやすいので使えない。このため,ニッケル,白金,銀などの金属製るつぼもある。なかでも白金るつぼは加熱による重量変化がきわめて少なく,王水以外の酸には侵されないので精密を要する定量分析に用いられる。ただ白金は還元炎中で熱するともろくなるし,また軟らかく,高価でもあるので,あまり精密さを必要としないときはニッケルや鉄が代用される。アルカリ融解などにはとくに銀るつぼが多く用いられる。ただし金属製るつぼは一般に酸に対して弱い。工業的な冶金などには黒鉛製,骨灰製などのるつぼがある。
加熱以外の役割をもたせるるつぼには,ろ(濾)過るつぼやローゼるつぼなどがある。ろ過るつぼは底部が多孔質の磁器からなるものや,底部に穴をあけアスベストを敷いて使用するもの(グーチるつぼ)などがある(図2)。これらは沈殿をろ過し,洗浄してから加熱秤量する。同種のものでガラス製のものもあるが,これは強熱することができず,ガラスろ過器というのが普通である。ローゼるつぼ(図3)は,沈殿を水素その他の気流中で熱する目的に用いるもので,ガスを導入する素焼の細い管がついている。
執筆者:中原 勝儼
工業用のるつぼは原理的には実験室用のものを大きくしたものである。金属やガラスなどを溶解する際に使用するため,高熱においても中の金属やガラスとほとんど反応しない材質を選択する必要がある。黒鉛は軽合金,銅合金とはほとんど反応しないため広く使用される。クレーボンド(黒鉛+粘土)およびカーボンボンド(黒鉛+炭化ケイ素)の2種類があり,急熱急冷,耐久性は後者のほうが優れる。軽合金では鋳鉄るつぼも使用される。また黒鉛と反応する鉄鋼の溶解では,シリカSiO2,アルミナAl2O3,マグネシアMgO,ジルコニアZrO2などの酸化物を単独あるいは混合して焼成したるつぼを使用する。るつぼを収容して重油,ガスなどの燃焼または電熱によって加熱する炉をるつぼ炉と呼ぶ。誘導炉の一型式をるつぼ炉と呼ぶこともあり,この場合は溝型誘導炉に対して使用される。
執筆者:佐藤 彰
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
字通「坩」の項目を見る。
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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