日本大百科全書(ニッポニカ) 「埋蔵鉱量」の意味・わかりやすい解説
埋蔵鉱量
まいぞうこうりょう
地中に現存する鉱床の質量をいう。ここで鉱床とは、地中の鉱物の集まりで経済的に採掘できるものをいう。金属などの需要や経済事情の変動によって、経済的に採掘できる限界が変動するので、埋蔵鉱量も変動することになる。そこで各種の鉱種について予想できる最低の採算限界を定め、この限界のもとで鉱石とすることのできる量を埋蔵鉱量と規定することとして鉱量計算基準が規格で定められている。
埋蔵鉱量は確定、推定および予想の3種に分けられている。(1)確定鉱量 坑道などによって容積と品位が確認された鉱量をいい、鉱床の性質や開発の状況によって連続性が確実に認められる部分もこれに加えられる。(2)推定鉱量 坑道や試錐(しすい)(ボーリング)などで確定されてはいないが、探鉱の結果および鉱床の性質によって容積および品位が推定される部分の鉱量をいう。(3)予想鉱量 確定鉱量および推定鉱量としては計上できないが、一部の鉱況から地質鉱床的に容積と品位が予想される部分の鉱量をいう。このほかウラン鉱床については、予想鉱量としては計上できないが地質条件などから鉱床の存在する可能性のある部分を可能鉱量として表すことがある。これら埋蔵鉱量は鉱床の存在状態その他の理由でそのすべてを採鉱することはできない。採鉱できる割合を可採率、採掘されたままで無価値の廃石を含む鉱石を粗鉱、埋蔵鉱量のうち採鉱できる粗鉱の質量を可採粗鉱量といい、これにも確定、推定および予想の3種がある。鉱量を記載する場合は埋蔵鉱量と可採粗鉱量とを併記し、それぞれについて品位別に分類するのを原則としている。なお、一般鉱石以外の石炭、石灰石、石油および天然ガスの鉱量の考え方の原則は同様であるが、それぞれ別の計算基準がある。
鉱山では鉱石を採掘するとともに坑内外の探査を行い、埋蔵鉱量の確保に努めている。すでに開発されている地域では精密な探査で埋蔵鉱量の増加が図られているが、まだ十分に調査されていない地域や地下深部にあるため、従来の技術では発見されない鉱床も多い。今日までに発見された鉱量は地殻中にある全鉱量=原始埋蔵量(資源量ともいう)の一部にすぎないが、資源は有限であるから、探査技術の発達により埋蔵鉱量の増加を、採鉱技術の発達により可採粗鉱量の増加を、利用技術の発達により未利用資源の有効利用を図る必要がある。
[房村信雄]