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デジタル大辞泉
「城の崎にて」の意味・読み・例文・類語
きのさきにて【城の崎にて】
志賀直哉の小説。大正6年(1917)発表。小動物の死を見つめ、人間の生と死の意味を考えた心境小説。
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城の崎にて
きのさきにて
志賀直哉(しがなおや)の短編小説。1917年(大正6)5月『白樺(しらかば)』に掲載。18年1月、新潮社刊の『夜の光』に収録。主人公の「私」は山手線にはねられた傷のあと養生のため城崎温泉に滞在。そこで蜂(はち)と鼠(ねずみ)といもりの生と死にまつわる状景を目撃する。無関心のまま土に帰する蜂、助からぬことを知りつつ死とあらがう鼠、偶然によるいもりの突然の死。この小動物の三つの死の姿をいきいきとした描写で示して、生きることと死ぬことの意味を自己の体験と重ね合わせ、心境小説として昇華結実させた名作。
[紅野敏郎]
『『城の崎にて』(岩波文庫・角川文庫・講談社文庫・新潮文庫)』
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きのさきにて【城の崎にて】
志賀直哉の短編小説。1917年(大正6)《白樺》に発表。18年新潮社刊行の《夜の光》に収録。山手線の電車にはねとばされ怪我をした〈自分〉は,その後養生(あとようじよう)に但馬の城崎温泉に出かけ,そこでの静かな生活のなかで,蜂の生と死,鼠の生と死,イモリの生と死の姿に触れる。静寂,恐怖と執着,偶然のかたちで襲ってくる生と死の異なったありようを目撃することで,おのれの生と死に思いをいたし,生きていることと死んでしまっていることは両極ではなく,それほどの差はないという認識に至る。
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城の崎にて
きのさきにて
志賀直哉の短編小説。 1917年『白樺』に発表。交通事故で九死に一生を得た主人公が,ハチ,ネズミ,イモリなど身近な動物の死に託して死生観を語る心境小説。鋭い感受性と的確な描写が高く評価されている。
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