基礎(読み)キソ(その他表記)foundation

翻訳|foundation

デジタル大辞泉 「基礎」の意味・読み・例文・類語

き‐そ【基礎】

ある物事を成り立たせる、大もとの部分。もとい。「基礎がしっかりしているから、上達が早い」「基礎を固める」「基礎知識」
建造物の荷重を支持し、地盤に伝える最下部の構造物。地形じぎょう土台など。
[用法]基礎・基本――「中国語を基礎(基本)から勉強する」「生活習慣の基礎(基本)を身につける」などの場合は相通じて用いられる。「社会繁栄の基礎」「会社の基礎を固める」などは「基本」では言い換えられない。◇「基本」は物事の根本、よりどころとなるものをいう。「基本法」は他の法律のよりどころとなる憲法などをさす。「法律の基礎」というと、法を支える考え方・思想の意味が強い。
[類語](1基本根本大本基盤根底基幹基部基底大根根幹中心基軸基調もとい土台下地初歩いろはABC/(2土台礎石

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精選版 日本国語大辞典 「基礎」の意味・読み・例文・類語

き‐そ【基礎】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 物事がなりたっているおおもと。根本。もとい。〔新令字解(1868)〕
    1. [初出の実例]「その自主の基礎(キソ)(〈注〉ドダヰ)は、人民の性行の上に在なり」(出典:西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉一)
  3. 建築物を安定させるために設けた建物の一番下の部分。地形(じぎょう)、礎石、土台などを含む。
    1. [初出の実例]「此橋は大鉄管を累(かさ)ね基礎となす」(出典:米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉一)

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改訂新版 世界大百科事典 「基礎」の意味・わかりやすい解説

基礎 (きそ)
foundation

基礎工とも呼ばれる。建築物や橋,ダムなどの構造物の自重による鉛直方向の荷重や,地震や風によって構造物に加わる水平方向の荷重を地盤に伝えるための工作物。構造物の下部に広がって設けられる下部構造体(フーチングfootingといい,この部分のみを基礎と呼ぶこともある)と,杭などのように地盤側に設けられる工作物である地業とからなる。構造物の上部構造の荷重は,鋼材やコンクリートでつくられた柱や壁に集約されて支えられており,常時,柱に働いている圧縮力は断面1cm2当り,鋼柱で1000kgf,コンクリート系の柱では数十kgfの程度である。それに対して構造物を載せる地盤の許容耐力は,かなりじょうぶな硬い砂地盤でも1cm2当り数kgfと小さく,柱や壁を直接地盤に建てることは一般に不可能である。このためフーチングによって柱や壁の下部の地盤との接触面に広がりをつけ,地盤の単位面積に加わる荷重を地盤の耐力に見合うようにすることが必要となる。木造の寺院の柱に礎石が用いられているが,まさにそれがフーチングに当たる。現在では一般にフーチングは鉄筋コンクリートでつくられるが,木造住宅など加わる荷重の小さい構造物の場合は無筋コンクリートも用いられる。構造物の重量が大きいか,表面付近の地盤が弱いときにはフーチングのみで構造物を安全に支えることは困難なので,杭などを利用して深いところにある良好な地盤に荷重を伝える必要がでてくる。

基礎は上部構造物からの荷重を地盤に伝える方式によって,直接基礎,杭基礎ケーソン基礎に大別される。

(1)直接基礎 構造物からの荷重をフーチングによって直接地盤に伝える形式の基礎。一定程度以上の厚さをもつ良質な地盤が比較的浅い(深さ5~6m以内)ところに得られる場合に多く用いられ,ふつうの土砂地盤では,一般に地盤のフーチングとの接触面を割りぐり石などを用いて締め固める。直接基礎はフーチングの地盤に対しての広がり方から次の四つに分類されている。(a)独立フーチング基礎 1本の柱や独立した煙突,塔などの下に単一に設けられるもの(図1-a)。日本の建築物では,工場,体育館などの大空間建物でないかぎり,柱脚下をはり(基礎ばりあるいはつなぎばりと呼ばれる)でつなぎ,独立フーチング基礎にモーメントがかからないようにするとともに不同沈下に備えている。(b)連続フーチング基礎 布基礎とも呼ばれ,フーチング部分が長く帯状になっているもの(図1-b)。柱下だけのフーチングの面積では地盤の耐力を超える単位面積当りの荷重が加わる場合に,柱間を結ぶ形で設けられ,壁の下にも壁に沿って設けられる。(c)複合フーチング基礎 2本以上の柱をまとめて一つのフーチングで支える形式のもの(図1-c)。フーチングの広がりが敷地境界で限定されたり,柱間が狭い場合に設けられる。底面の重心が,その部分の荷重の重心となるべく一致するようにする。(d)べた基礎 いかだ基礎とも呼ばれ,構造物の底面全体で荷重を地盤に伝える形式のもの(図1-d)。マット状の厚い鉄筋コンクリートの板で形成したり,鉄筋コンクリートの板をはりで支える形にしたりする。上部構造の平面上のある部分が重かったりして荷重の偏在があったりすると,各部分の地盤の沈下を考慮して設計をしなければならないので,設計がむずかしい。

(2)杭基礎 杭基礎は構造物からの荷重を杭などの地業によって地盤に伝える形式の基礎で,直接基礎では支持が困難な軟弱地盤や重量の大きい構造物の場合に用いられ,一般に構造物の荷重を深いところにある良質な地盤に伝える(図2)。ピア(柱造の構造物)を地業に用いるピア基礎は,建築の分野では杭基礎に含めているが,土木の分野では後述のケーソン基礎に含めることが多い。フーチング部分は直接基礎の場合の独立フーチング基礎,連続フーチング基礎,複合フーチング基礎やべた基礎あるいははりの形をとる。荷重に対する抵抗機構からは,主として杭先端の硬い地層で鉛直荷重を支持する支持杭,主として杭の周辺に働く土との摩擦力により鉛直荷重を支持する摩擦杭,水平力や引抜きに抵抗するための杭などに分けられ,また施工方法からは工場で製作した既製杭を杭打機で地盤中に打ち込む打込杭,地中に穴をあけて既製杭を埋め込んだり,中空杭をその内部の土を掘り出しながら地中に押し込み,最後に打撃を加えるかセメントミルクなどで根固めをした埋込杭,地中にあけた穴にコンクリートを打設することにより現場でつくられる場所打ちコンクリート杭に分類される。なお,軟弱な厚い地層を貫いて支持杭をつくった場合,軟弱地層が埋立土などのために圧密沈下すると(地下水のくみ上げでも起こる),土が杭に対して相対的に下がる現象を起こし,支持する方向とは逆方向の摩擦力(負の摩擦力と呼ぶ)が生ずるので,これに対して杭にアスファルト性の滑り剤を塗布して摩擦力の低減をはかったりする。

(3)ケーソン基礎 地業としてケーソンを用いた基礎で,剛性に富み耐震性にも優れている。適当な地盤が地中や水中の深いところに存在するが,土止めや仮締切りだけではその深さまでの掘削が困難な場合などに用いられ,良質の地盤に到達させることを原則とし,鉛直方向の支持耐力は先端支持力だけに頼る。施工方法からオープンケーソンと空気ケーソンに分けられる。
ケーソン

どのような形式の基礎とするかを選定する場合,まず地盤に関する予備調査を行い,それに基づいて本調査(ボーリング,標準貫入試験,各種の土質試験,載荷試験など)を行って,設計上,施工上の資料を確保する必要がある。選定に当たっては,確実に施工ができ,地盤の耐力や沈下量に支障がないことのほか,経済性が考慮される。良好な地盤が得られれば,一般には直接基礎が確実性,経済性の点で有利といえ,直接基礎では,おおむね独立フーチング基礎,連続フーチング基礎,べた基礎の順に経済性は悪くなる。杭基礎は騒音などの公害問題もあり,施工方法に留意が必要である。ケーソン基礎は土木構造物のような大規模なものに適している。軟弱な地盤では基礎工事費が全工事費に対して大きな割合を占めてくるので,むしろ良質な地盤をもつ敷地を選ぶほうが得策の場合もある。また軟弱地盤ではあらかじめ盛土をし,かつサンドパイルなどを打って透水性を高め,圧密沈下を先に起こさせてしまってから盛土を除去して構造物を建設する地盤改良なども行われる。
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百科事典マイペディア 「基礎」の意味・わかりやすい解説

基礎【きそ】

建造物や橋,ダムなどの構造物の自重による荷重や,地震や風によって加わる水平方向の荷重を最下部で支持し地盤に伝える部分。構造物の大きさ,重量,用途,地質などによって適した形式が決定され,安全性や耐震性に重要な役割を果たす。個々の柱をささえる独立フーチング基礎,柱の列や壁体を連続してささえる連続フーチング基礎(布基礎)が基本的。規模の大きな構造物には杭(くい)基礎,ピア基礎,ケーソン基礎(地下水がはいらないよう圧縮空気を送りながら掘る)などが施行される。→耐震構造

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「基礎」の意味・わかりやすい解説

基礎[構造物]
きそ[こうぞうぶつ]
foundation

建築物,橋などの構築にあたり,上部構造の荷重を地盤に伝えるとともに,沈下,振動などを許容限度以下に押えるため,上部構造の底部に設ける構造部分の総称。基礎スラブとその下の地業とで構成される。基礎には,地盤表面に割ぐり石などを敷き並べ,突き固めた地業 (コンクリートを敷いて代用する場合もある) の上に基礎スラブを設ける形式の直接基礎と,スラブ下に杭,深礎,ケーソンなどの地業を設けて構造物荷重を地中深く伝える形式の杭基礎,深礎,ケーソン基礎がある。直接基礎の場合はさらに,構造物の底部全面を基礎とするベタ基礎,底部の一部を布状 (あるいは帯状) の基礎とする布基礎,底部の要所を基礎とする独立基礎などに細分される。

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家とインテリアの用語がわかる辞典 「基礎」の解説

きそ【基礎】

建物や橋などの構造物を支え、上部の荷重を地盤に伝える部分。大型の構造物に用いる杭(くい)基礎やケーソン基礎など、さまざまな種類がある。一般には住宅建築で用いられる直接基礎をいうことが多い。直接基礎には、形状により独立基礎布基礎べた基礎などがある。

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不動産用語辞典 「基礎」の解説

基礎

建築物を支え地盤に定着させる構造部分のことを「基礎」といいます。外周基礎はコンクリートの布基礎とし、主要な間仕切りの下や浴室などの水を使う部分の周囲にも用います。
不同沈下を生じないようにし、地震力、風圧力などの水平荷重に対しても安全な構造にします。
基礎には、大きく分けて「直接基礎」と「杭基礎(深基礎)」の2種類があります。

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リフォーム用語集 「基礎」の解説

基礎

建物の自重や建物に加わる荷重(積雪荷重、地震力など)を地盤に伝え、建物を支える下部構造の総称。木造の場合は外壁や主要間仕切壁の下に連続して設けた布基礎が代表的だが、地盤が軟弱な場合は建物の底面全体を版状の基礎としたベタ基礎が用いられる。→布基礎、ベタ基礎

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普及版 字通 「基礎」の読み・字形・画数・意味

【基礎】きそ

土台。

字通「基」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の基礎の言及

【コルセット】より

…20世紀に入り,女性の社会進出とともにウエストのゆるやかなファッションが現れ,機能性が重視されるようになり,ガードルと呼ばれる,靴下つりのついた,伸縮性のある素材でつくられたコルセットが出現した。現代では胴から腰部をととのえる基礎下着(ファウンデーションfoundation)の一種として,さまざまな工夫がこらされたガードル,ウエスト・ニッパー,ボディスーツなど名称,種類も多様になっている。下着【池田 孝江】
[医療用のコルセット]
 腰痛症や脊椎の骨折などに際し,体幹に装置する装具をいう。…

【財団】より

…なお,相続人が不明の場合,遺産は法人として扱われ(民法951条),法人型の財団となるが,この相続財産法人は一種の清算を目的とする点で,破産財団に近い性格をおびている。【鍛冶 良堅】
[アメリカの財団]
 アメリカの財団foundationは,自己運用資金をもち,独自の理事会または評議会によって運営され,非営利の社会的,教育的,宗教的その他の公共福祉事業の推進を目的として設立されている。日本の公益財団法人がほぼこれに当たるといえよう。…

【下着】より

…衛生,保温,体型の補整,装飾などのために用いられる。洋装の下着は用途によって肌着(アンダーウェアunderwear),基礎下着(ファウンデーションfoundation),装飾下着(ランジェリーlingerie)の3種に分けられる。いずれも木綿,麻,絹,羊毛,化学繊維などでつくられ,白,肌色,あるいは上に着る衣服と同色のものが用いられる。…

【建築構造】より

…とくに地震,風,雪など外力に対する安全性,火災に対する安全性は生命,財産にかかわるものとして第一義的に必要とされる。構造体の耐久・安全性にかかわるものとしては,このほか基礎の不同沈下,構造体の腐朽・さびの発生・風化・シロアリ害,落雷などがあり,これらへの対策も必要である。次にわれわれの生活環境を調整する機能,すなわち,雨,風,温度,湿度,日照などの外部環境の変化に対し,内部空間を快適に保ちうる構成とし,騒音,振動を防止することも考えねばならない。…

※「基礎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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