船舶が安全に航海に堪える能力。堪航能力を担保する制度は、航海の安全を図るという公益的理由に基づき、ルイ14世の海事勅令にその起源を発する。その内容は、船体が堅牢(けんろう)で当該航海に堪える能力(狭義の堪航能力)のほか、約定の航海をなすに必要ないっさいの設備、すなわち船長・海員の乗組み、法定書類の備置、燃料・食糧の積込みなど、いっさいの艤装(ぎそう)を完備していること(運航能力)、物品運送の場合には、特定の運送品を運送する船舶の能力、すなわち船倉、冷蔵室その他運送品を積み込む場所を、運送品の受入れ、運送および保存に適する状態に置くこと(堪貨能力)などが含まれる。外航船による物品運送人は、自己またはその使用する者が発航の当時堪航能力を備えるにつき注意を怠ったことにより生じた運送品の損害について損害賠償の責任を負い、運送人はその注意が尽くされたことを証明しなければその責任を免れない(国際海上物品運送法5条)。また、この責任についての免責約款は無効である(同法15条1項)。内航船の物品運送人と外航船・内航船の旅客運送人については、発航の当時船舶が堪航能力を欠如したことにより、運送品や旅客に与えた損害について無過失責任を負い(商法738条・786条)、その免責特約は許されない(同法739条・786条)。なお、船長は発航前に堪航能力を検査する義務を負う(船員法8条)。船舶保険や積荷保険でも堪航能力を欠いた場合、保険者は免責される(商法829条)。
[戸田修三]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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