塔頭(読み)たっちょう

精選版 日本国語大辞典 「塔頭」の意味・読み・例文・類語

たっ‐ちょう【塔頭】

〘名〙 (「たっちゅう(塔頭)」の変化した語) 古墓。また、墓地

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デジタル大辞泉 「塔頭」の意味・読み・例文・類語

たっ‐ちゅう【頭/塔中】

唐音
禅宗で、大寺高僧死後弟子がその徳を慕って墓の塔のほとりに構えた寮舎
寺院の敷地内にある小寺院や別坊。脇寺わきでら

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「塔頭」の意味・わかりやすい解説

塔頭
たっちゅう

本寺の境内にある末寺院。塔中とも書く。塔は墓の意で、もとは高僧が寂すると、弟子がその塔の頭(ほとり)に小庵(しょうあん)を建て、墓を守ったことに始まる。のちには、大寺院の高僧が隠退したときなどに、寺の近くや境内に小院を建てて住し、没後門下の人々が、この小院に住して墓塔を守り、祖師が生けるがごとく奉仕するに至り、それらをも塔頭と称する。次々と小院が建てられたために、しだいにその数も増え、たとえば鎌倉円覚寺(えんくじ)は一時、32庵二院を数え、いまでも12庵一院を擁している。元来、塔頭は大寺院に従属したが、明治以後では独立した寺院として扱われることが多い。

[永井政之]

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百科事典マイペディア 「塔頭」の意味・わかりやすい解説

塔頭【たっちゅう】

塔中とも。大寺のいわば寺内寺院。とくに禅寺では高僧の基所に建てられた塔,またその塔を守るための庵をいう。禅宗大寺の住持十方住持制門派にとらわれずに器量によって住持をえらぶ)で任命され,かつ官寺であっても,塔頭は塔主(たっす)の門徒が拠る私寺。師から弟子に住持職(しき)が相承される。
→関連項目孤篷庵聚光院

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世界大百科事典 第2版 「塔頭」の意味・わかりやすい解説

たっちゅう【塔頭】

禅宗寺院の子院で塔中とも書く。高僧の住房や庵居から発展し,その墓(塔)を守って弟子が相伝した。塔の中で首座にあるところから塔頭と呼んだとも,また塔の頭(ほとり)でこれを守ったことから塔頭と呼んだともいう。室町時代に五山では庵居の風習が盛んとなって多く設立され,幕府では塔頭造営を規制したことがある。山号をもたず,院,庵,軒などの称号をもった。独立した一寺ではないが,所領を保有して末寺をもち,同門の派徒のよりどころ,一派の拠点となって規模も拡大し,実質的には一寺としての発展をみる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「塔頭」の意味・わかりやすい解説

塔頭
たっちゅう

仏教用語。寺院のなかにある個別の坊をいう。寺院を護持している僧侶や家族が住む。子院,わきでらともいう。

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世界大百科事典内の塔頭の言及

【寺院建築】より

…床はふたたび土間となった。主要伽藍のほかに高僧の住院を墓所とした塔頭(たつちゆう)ができ,開山塔と昭堂(しようどう),方丈(ほうじよう),庫裡(くり)などを配し小僧院の形をとる。これは後に一般の小寺院の原型となった。…

【禅宗寺院建築】より

…回廊の東には庫院(くいん),浴室,東司(とうす)など,西には僧堂,西浄(せいちん∥せいじよう)などが配される。法堂の北には方丈や客殿があり,伽藍周囲には塔頭(たつちゆう)と呼ばれる子院が置かれた。仏塔は中心部ではなく伽藍後方の高みに建てた。…

【本末制度】より

…第2の要因は,法務補完の必要に基づくものである。たとえば本坊境内に所在している塔頭(たつちゆう)がそれであるし,真宗などにおける檀家の日常的法務の担当者としての寺中や,遠隔地檀家に対する法務を行う下道場,下寺などがそれである。このようにして中世末期までには,各宗派ともに地方的な有力寺院が中本山となって小教団を形成していた。…

【室町時代美術】より

…また,安楽寺八角三重塔(長野),安国寺経蔵(岐阜)は禅宗様からなる特異な遺構であり,不動院金堂(広島)は五山の方五間単層裳階つき仏殿の規模に準ずるもので,屋内架構手法がいっそう発達している。禅寺では伽藍の周辺に塔頭(たつちゆう)群が営まれていて景観を特徴づけている。塔頭は禅僧寂後の祭享施設で塔所と昭堂を中心に客殿,庫裏(くり),僧堂,寮舎から構成されていた。…

※「塔頭」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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