デジタル大辞泉 「塚」の意味・読み・例文・類語
つか【塚/×冢】
2 土を小高く盛って築いた墓。また、一般に墓。「無縁―」
[類語]墓・墳墓・土饅頭・墓穴・首塚・墓地・墓所・霊園・墓場・
土を高く盛り上げたものをいうが、石をもって築いた石塚もある。わが国にはいろいろな目的でつくられた塚があるが、人が足を踏み入れない聖地の標識としたものが多い。古代人が残した貝殻、石器、土器、人骨など考古学上の資料である貝塚のようなものもあるが、多くは歴史時代に入ってつくられたものが多く、それぞれ伝説を伴っている。塚にはいろいろの名称がついており、古墳関係のものでは、その形状から丸塚、双子(ふたご)塚、車塚などがある。信仰関係のものでは経塚、法華(ほっけ)塚、庚申(こうしん)塚、稲荷(いなり)塚、大日(だいにち)塚などがある。経塚は納経塚ともいい、経文を書写して経筒に入れて納めたものである。法華塚以下はそれぞれ神仏の祭地として築いた塚である。ほかに行人(ぎょうにん)塚というのがある。行者が生きながら土中に埋められて往生したという。入定(にゅうじょう)塚というのも同様である。
民間信仰による塚に狐(きつね)塚というのが各地にある。今日みられる狐塚は多く田んぼの近くにあり、これは田の神の使いとされている狐を祀(まつ)ったものと思われる。狐については吉凶を知らせてくれたなどの伝説があり、狐霊を祀ったという狐塚もある。塚は単独に築かれているのが普通だが、多くの塚を並置したものもある。その代表的なものに十三(じゅうさん)塚、七人(しちにん)塚がある。十三塚についてはまだ確定的なことはわからないが、武将と部下の13人を供養したものという。13の塚が並列してあり、中央の一つの大きい塚が武将のものといわれている。13という数は十三仏などもあり仏教では聖数とされているが、それと関係があるかどうかわからない。ただ興味のあるのは、海外の蒙古(もうこ)(モンゴル)でオボといってやはり13の塚を設けていることである。七人塚についても落武者を葬ったなどの伝説が伝えられている。
塚には上述のように伝説の付随しているものが多いが、行政・経済など実際上の必要から築いたものがある。その代表的なものに境(さかい)塚、一里(いちり)塚がある。前者は昔の国境(くにざかい)に築かれた。信州(長野県)と飛騨(ひだ)(岐阜県)との山中の境などに林産物採取の争いの起こらないよう境塚を設け、そこに境の神を祀る例もあった。後者は街道交通の便を図ったもので、安土(あづち)・桃山時代から江戸時代に至って完備された。東海道では江戸日本橋を起点として一里ごとに塚を築き、その上に榎(えのき)などを植えて目印とした。
[大藤時彦]
『柳田国男・堀一郎著『十三塚考』(1948・三省堂)』
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出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
…十三坊塚,十三本塚,十三人塚,十三壇,十三森など地方により名称が異なるが,死者供養,境界指標,修法壇として築かれた13の列塚。この塚はほぼ全国的に分布するが,陸前,関東,尾張,筑前地方に顕著である。…
…遺骸を埋葬する場所,またその施設を墓という。形態的には土を高く盛った墳墓(冢(ちよう),塚(つか))に対して墓は地下に埋葬し墳丘をもたないものを指すが,一般に墓という場合,墳墓はもちろん,死体を遺棄した場所や,崖などに穴をうがって埋葬したもの,また墓石などの石碑類も意味することが多い。旧石器時代以来,人類はさまざまな方法で死者を葬ってきたが,先史時代における墓の形態や葬法と,東アジアを中心とする巨大な墳丘をもった墓については,〈墳墓〉の項目を参照されたい。…
…〈墳〉は土を高く盛った墓を指し,冢(ちよう)とも呼ばれる。日本ではその俗字,塚(つか)を使うことが多い。〈墓〉は墓碑を立てたりはするが,遺骸を埋葬する本体は地下にある平らなものをいう。…
※「塚」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報
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