塞がる(読み)フサガル

デジタル大辞泉 「塞がる」の意味・読み・例文・類語

ふさが・る【塞がる】

[動ラ五(四)]
あいていた箇所が詰まる。すき間や穴がなくなる。「家が建って空き地が―・る」
物が詰まって通じなくなる。また、物がじゃまをして通れなくなる。「下水管ごみで―・る」「道が落石で―・る」
開いていたものが閉じた状態になる。「袋の口がやっと―・る」「あいた口が―・らない」
他のものに占められていて、使うことができない。いっぱいであきがない。「手が―・っている」「部屋全部―・っている」
心が、ある感情でいっぱいに占められる。「悲しみで胸が―・る」
ふさがり2方角に当たる。「南が―・っている」
[類語]つかえる詰まる塞ぐ結ぼれる沈む滅入めい曇るうつする鬱屈うっくつする鬱結うっけつする消沈するしょげるしょげ返るふさぎこむ

ふたが・る【塞がる】

[動ラ四]
いっぱいになる。ふさがる。
「胸―・りて嘆く」〈かげろふ・中〉
方塞かたふたがりになる。
「今宵、中神内裏うちよりは―・りて侍りけり」〈帚木

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「塞がる」の意味・読み・例文・類語

ふさが・る【塞】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
  2. いっぱいになる。つまる。ふたがる。
    1. (イ) いっぱいになってさえぎられる。立ちふさがる。さえぎられて通れなくなる。
      1. [初出の実例]「大磐(をほいは)(フサカリ)て溝(みそ)を穿(ほ)ることを得(え)ず」(出典日本書紀(720)神功摂政前(北野本訓))
    2. (ロ) 空間にいっぱいにひろがる。満ちる。
      1. [初出の実例]「仁風(うつくしひののり)宇宙(あめのした)に鬯(の)び美声(よきな)乾坤(あめつち)に塞(フサカル)」(出典:日本書紀(720)安閑二年正月(北野本訓))
    3. (ハ) 鼻やのどなどがつまる。
      1. [初出の実例]「鼽 ハナフサカル」(出典:韻字集(1104‐10))
    4. (ニ) ある気持や考えなどで胸がいっぱいになる。心配や苦労などで胸がつまる。
      1. [初出の実例]「前途三千里のおもひ胸にふさがりて」(出典:俳諧・奥の細道(1693‐94頃)旅立)
    5. (ホ) 他のものに占められて使えなくなる。いっぱいで、別のものが入る余地がなくなる。
      1. [初出の実例]「おりふしべちの間がふさがっておりなひ」(出典:虎明本狂言・宗論(室町末‐近世初))
  3. 閉じる。締まる。とざされる。閉鎖する。
    1. [初出の実例]「不破の関ふさがりたる由申ける間」(出典:金刀比羅本保元(1220頃か)中)
  4. 手や器具が使用されていて使えない状態になる。
    1. [初出の実例]「両人とも両手が塞がってゐる」(出典:倫敦消息(1901)〈夏目漱石〉三)
  5. 陰陽道でいうふさがりの方角に当たる。事を起こそうとする方角に、太白神天一神などの凶神がおり、その祟りをおそれて行なうことができない状態になる。方塞(かたふたがり)になる。ふたがる。

ふたが・る【塞】

  1. 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙
  2. ふさがる(塞)
    1. [初出の実例]「遮衢(さいきりをと)して径(みち)に塞(フタカリ)て」(出典:日本書紀(720)景行四〇年七月(北野本訓))
  3. ふさがる(塞)
    1. [初出の実例]「方はいづかたかふたがる」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)

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