塞の神(読み)さえのかみ

精選版 日本国語大辞典 「塞の神」の意味・読み・例文・類語

さえ‐の‐かみさへ‥【道祖神・塞神】

  1. 〘 名詞 〙 境にあって外部から村落へ襲来する疫神悪霊などをふせぎ止めたり、追い払ったりする神。また、行路の神、旅の神、生殖の神ともされる。どうそじん。さいのかみ。〔十巻本和名抄(934頃)〕
    1. [初出の実例]「道祖(さへ)の神を祭て狂にこそ有ぬれ」(出典今昔物語集(1120頃か)三一)

さい‐の‐かみ【道祖神・幸神・斎神・塞神】

  1. 〘 名詞 〙さえのかみ(道祖神)
    1. [初出の実例]「斎の神の冠もなきやうなる物を五頭きざみたてて」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)九)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「塞の神」の意味・わかりやすい解説

塞の神
さえのかみ

村や部落の境にあって,他から侵入するものを防ぐ神。邪悪なものを防ぐとりでの役割を果すところからこの名がある。境の神の一つで,道祖神,道陸神 (どうろくじん) ,たむけの神,くなどの神などともいう。村落を中心に考えたとき,村境は異郷他界との通路であり,遠くから来臨する神や霊もここを通り,また外敵や流行病もそこから入ってくる。それらを祀り,また防ぐために設けられた神であるが,種々の信仰が習合し,その性格は必ずしも明らかでない。一般には神来臨の場所として,伝説と結びついた樹木岩石があり,七夕の短冊竹虫送り人形を送り出すところとなり,また流行病のときには道切りの注連縄 (しめなわ) を張ったりする。小正月左義長などの火祭をここで行う場合もある。神祠,神体としては,「塞の神」「道祖神」などの字を刻んだ石を建てたものが多いが,山梨県には丸石を祀ったものもあり,人の姿を刻んだ石や,男根形の石を建てるものも少くない。行路や旅の神と考える地方ではわらじを供え,また子供の神としてよだれ掛けを下げたり,耳の神として穴あきの石を供えたりするところもある。

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改訂新版 世界大百科事典 「塞の神」の意味・わかりやすい解説

塞の神 (さえのかみ)

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百科事典マイペディア 「塞の神」の意味・わかりやすい解説

塞の神【さいのかみ】

道祖神(どうそじん)

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世界大百科事典(旧版)内の塞の神の言及

【縁結び】より

…縁とは親子,夫婦,主従など広く人間関係をさし,縁結びとはそれを結ぶことであるが,一般には夫婦,男女の関係を結ぶことをいい,男女の縁を結ぶ呪術的習俗をいうこともある。縁結びには超自然の意志が関係すると考えられており,各地に男女の縁を結ぶとされる神仏があって,良縁祈願がなされている。島根県の出雲大社は農耕神,福神としての性格とともに縁結びの神,仲人の神として知られている。また旧暦10月の神無月には全国の神々が出雲に集まるとされるが,その際,神々は男女の縁を結ぶといわれている。…

【道祖神】より

…サエノカミ(塞の神),ドウロクジン(道陸神),フナドガミ(岐神)などとも呼ばれ,村の境域に置かれて外部から侵入する邪霊,悪鬼,疫神などをさえぎったり,はねかえそうとする民俗神である。陰陽石や丸石などの自然石をまつったものから,男女二神の結び合う姿を彫り込んだもの(双体道祖神)まで,この神の表徴は多様である。…

※「塞の神」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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