精選版 日本国語大辞典 「塩化水銀」の意味・読み・例文・類語
えんか‐すいぎん エンクヮ‥【塩化水銀】
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水銀と塩素の化合物。1価および2価の化合物が知られている。
(1)塩化水銀(Ⅰ)(塩化第一水銀) 通称は甘汞(かんこう)、カロメルともいう。硝酸水銀(Ⅰ)水溶液に塩酸を加えて得られる無色で光沢がある結晶。熱すると400~500℃で融解することなく昇華する。分子性の化合物で、分子は[Cl―Hg―Hg―Cl]のような直線型構造であり、したがって水にはきわめて難溶性である(43℃の水1リットルに7ミリグラム溶解)。エタノール(エチルアルコール)に溶ける。利尿剤、下剤などとして用いられていたが現在ではほとんど利用されていない。劇薬であって注意が必要。また甘汞電極に用いられる。
(2)塩化水銀(Ⅱ)(塩化第二水銀) 通称は昇汞(しょうこう)。酸化水銀(Ⅱ)HgOを塩酸に加温溶解してから放冷し結晶させてつくる。あるいは水中で水銀に塩素を反応させてつくる。無色の結晶。[Cl―Hg―Cl]のような直線型分子からなる分子性結晶で、水にはわずかしか溶けない。エタノール、アセトンなどに溶ける。水中では加水分解してわずかに酸性を示す(pH4.7)が、塩化アルカリを加えると加水分解が抑えられ、しかもクロロ錯イオン[HgCl4]2-を生成して溶解度が増す。したがってこのときは中性となる。医薬品として消毒剤、防腐剤として用いられる。同量の塩化カリウムと赤色着色剤を加えたものが昇汞錠である。そのほか有機合成用触媒などとして用いられる。猛毒で、致死量0.2~0.4グラム。中毒には、胃洗浄、卵、牛乳の飲用のほかバル(BAL、1,2-ジチオグリセリン)などの解毒剤を用いる。
[中原勝儼]
【Ⅰ】塩化水銀(Ⅰ):Hg2Cl2(472.09).甘コウ(カロメル)ともいう.硝酸水銀(Ⅰ)の水溶液に塩化ナトリウム水溶液を加えると得られる.白色の粉末.密度7.15 g cm-3.水にほとんど不溶(25 ℃ で2.95 mg L-1),エタノール,エーテルに不溶,硝酸,塩酸に微溶.光によってHgCl2とHgに分解する.融点525 ℃(封管中).開放した容器中では,溶融することなく昇華する.複核で,Hg-Hg0.253 nm.アンモニア水と反応するとHgClNH2とHgの黒色の混合物が得られる.カロメル電極,医薬品,花火に用いられる.無毒.[CAS 10112-9-1]【Ⅱ】塩化水銀(Ⅱ):HgCl2(271.50).昇コウともいう.硫酸水銀(Ⅱ)と塩化ナトリウムを混合し,少量の酸化マンガン(Ⅳ)を加え加熱昇華してつくる.斜方晶系の無色の結晶.密度5.44 g cm-3.融点276 ℃.304 ℃ で昇華する.水,エタノール,エーテル,酢酸,ピリジン,ベンゼンに可溶.水溶液は放置すると徐々に加水分解してHg2Cl2を生じ酸性を呈するようになる.アルカリ塩化物の水溶液中では急激に溶解度が増大して,Na2[HgCl4]のような形で溶けている.きわめて有毒で致死量は0.2~0.4 g といわれている.分析試薬,ネスラー試薬,消毒剤,有機合成の触媒,水銀(Ⅱ)化合物の合成原料,医薬品,写真などに用いられる.[CAS 7487-94-7]
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