精選版 日本国語大辞典 「塩化鉄」の意味・読み・例文・類語
えんか‐てつ エンクヮ‥【塩化鉄】
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
鉄と塩素の化合物。酸化数+Ⅱおよび+Ⅲの化合物、+Ⅱと+Ⅲの両方を含む化合物が知られている。
(1)塩化鉄(Ⅱ)(塩化第一鉄) 自然鉄、隕石(いんせき)、火山噴出物などの中に存在する。無水和物のほか、二、四、六水和物などがある。無水和物は乾いた塩化水素中で鉄を赤熱すれば得られる。実験室では、塩化鉄(Ⅲ)をクロロベンゼンの環流下で加熱してつくるのが便利である。
工業的には、鉄くずを濃塩酸に溶解し、その上澄み液を濃縮して塩化鉄(Ⅱ)の溶液を得ている。これは液状のまま市販される。無水和物は淡緑白色の結晶で、湿った空気中では分解して緑黄色から赤褐色に変わる。水、エタノール(エチルアルコール)によく溶ける。水溶液から室温で結晶させると、淡緑色、潮解性の四水和物が析出する。水和物は空気中で熱すれば分解して酸化鉄(Ⅱ)となる。媒染剤、染料、顔料、調剤などに用いられる。
(2)塩化鉄(Ⅲ)(塩化第二鉄) 天然には火山噴出物や隕石の中にみいだされることがある。無水和物のほかに、六水和物など多くの水和物がある。無水和物は、鉄粉を比較的低温で塩素と反応させることによって得られる。六水和物を塩化チオニルで脱水する方法もよく用いられる。
工業的には、塩化鉄(Ⅱ)の溶液を塩素で酸化して塩化鉄(Ⅲ)の溶液とする。これを濃縮、放冷すれば水和物結晶が得られる。無水和物は暗赤色の結晶。潮解性があり、水、アルコール、アセトン、エーテルによく溶ける。六水和物は黄褐色の結晶で潮解性が著しい。水によく溶け、加水分解して強酸性を示し、タンパク凝固作用があるので止血剤に用いられる。そのほかに金属板腐食液(ネームプレート、写真製版、プリント配線、目盛板)、凝集沈殿剤、媒染剤などに用いられる。無水和物には有機化学反応における酸化剤、縮合剤、塩素の逓伝(ていでん)体などの用途がある。
[鳥居泰男]
【Ⅰ】塩化鉄(Ⅱ):FeCl2(126.75).二塩化鉄ともいう.白~淡緑色のりん片状晶.潮解性があり,乾いた塩化水素中で鉄を赤熱すると得られる.密度2.99 g cm-3.融点672 ℃,沸点1024 ℃.常磁性をもつ.吸湿性で湿った空気中では,ただちに緑黄色を経て赤褐色になる.水に易溶.光により分解する.四水和物は淡緑色の結晶.潮解性.密度1.926 g cm-3.加熱すると水和水中に溶ける.媒染剤,廃水処理剤,冶金,医薬製造などに用いられる.[CAS 7758-94-3:FeCl2][CAS 16399-77-2:FeCl2・2H2O][CAS 13478-10-9:FeCl2・4H2O]【Ⅱ】塩化鉄(Ⅲ):FeCl3(162.20).三塩化鉄ともいう.暗赤色の結晶塊.潮解性.硫酸鉄(Ⅱ)に塩素を作用させると得られる.密度2.90 g cm-3.融点300 ℃,沸点317 ℃.蒸気密度はFe2Cl6に相当する.空気中で加熱すると酸化鉄(Ⅲ)になる.水に易溶.エタノール,エーテルとは付加物を生成する.六水和物は黄褐色の柱状または板状晶.黄色塩化鉄として市販されている.いちじるしく潮解性.比較的軟らかい.融点36.5 ℃,沸点280 ℃.水溶液は加水分解して強酸性を呈する.湿気,光により分解して塩化水素を放つ.タンパク質を凝固させる.媒染剤,止血剤,酸化剤,塩素化剤,汚水処理剤,プリント基板のエッチング剤などに用いられる.[CAS 7705-08-0:FeCl3][CAS 10025-77-1:FeCl3・6H2O]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
地震や風雨などによる著しい災害のうち、被災地域や被災者に助成や財政援助を特に必要とするもの。激甚災害法(1962年成立)に基づいて政令で指定される。全国規模で災害そのものを指定する「激甚災害指定基準に...
9/11 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新