(読み)ゴミ

デジタル大辞泉 「塵」の意味・読み・例文・類語

ごみ【×塵/×芥】

利用価値のないこまごました汚いもの。ちり。あくた。塵芥じんかい。「―の山」「―捨て場」
水底にたまった泥状のもの。
水田みづたの―深かりけるくろの上に」〈平家・九〉
[用法]ごみ・くず――「ごみ」は不要になり捨てられた物や、その辺にある汚いものをいう。「粗大ごみ」「川にごみを捨てる」などを普通「くず」とは言わない。◇「くず」は、切ったり削ったりして、良いところをとったりしたあとに残る役に立たない部分をいう。「パンくず」「糸くず」のように他の語に付いて、役にも立たないかけら、切れ端であることを示し、また、役に立たない意から比喩的に「あいつは人間のくずだ」などともいう。
[類語]塵芥ちりあくた塵芥じんかい藻屑がらくたスクラップ生ごみ紙屑おが屑食べ滓茶殻粉塵黄塵砂塵後塵塵埃

ちり【×塵】

細かいくずなどが飛び散ったもの。ほこり。また、小さなごみ。「一つない部屋」
俗世間のわずらわしさ。世俗のよごれ。「浮世を払う」
ほんの少しであること。多く、あとに打消しの語を伴って用いる。「ほども疑わない」
[類語]ごみ塵芥ちりあくた塵芥じんかい藻屑がらくたスクラップ生ごみ紙屑おが屑食べ滓茶殻粉塵黄塵砂塵後塵綿塵塵埃煤埃

じん【塵】[漢字項目]

[音]ジン(ヂン)(呉) [訓]ちり
〈ジン〉
ちり。ほこり。「塵埃じんあい塵芥じんかい塵土灰塵黄塵後塵砂塵微塵みじん梁塵りょうじん
俗事。俗世間。「塵界塵外俗塵
仏教で、感覚に触れて修行の妨げとなるもの。「六塵ろくじん
〈ちり〉「塵紙塵塚
難読塵芥ごみ

じん〔ヂン〕【×塵】

ちり。ごみ。
「側らにある―を取って摘み」〈織田訳・花柳春話
仏語。
㋐感覚の対象きょう
㋑煩悩。
数の単位。1の10億分の1。→くらい[表]

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精選版 日本国語大辞典 「塵」の意味・読み・例文・類語

ちり【塵】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 粉末状や粒子状になってとびちるもの。くだけてとびちるもの。ほこり。
    1. [初出の実例]「埃塵(チリ)相ひ接(つ)けり機(はかりこと)を両の陣(いくさ)の間に決めて」(出典:日本書紀(720)継体二二年一一月(寛文版訓))
    2. 「たけき者も遂にはほろびぬ、偏(ひとへ)に風の前の塵に同じ」(出典:平家物語(13C前)一)
  3. 小さなごみ。あくた。
    1. [初出の実例]「二つ三つばかりなるちごの、いそぎてはひ来る道に、いとちひさきちりのありけるを目ざとに見つけて」(出典:枕草子(10C終)一五一)
  4. ねうちのないもの。とるにたらないもの。→塵の身
    1. [初出の実例]「ちりならぬ身もただ夢のうち 蝶のゐる花の常夏秋かけて〈専順〉」(出典:新撰菟玖波集(1495)秋)
  5. よごれ。けがれ。また、くもり汚点
    1. [初出の実例]「にごりなきかめ井の水を結びあげて心のちりをすすぎつる哉〈上東門院〉」(出典:新古今和歌集(1205)釈教・一九二六)
  6. 浄土に対して、人の住む世界を汚れたものとしていう語。俗世のけがれ。また、俗界。塵界。塵俗。ちりの世(よ)
    1. [初出の実例]「是(これ)、人間(ひとのよ)の遊びなれども、頓(ひたぶる)に塵の中の煩(うれひ)を忘る」(出典:常陸風土記(717‐724頃)久慈)
  7. きわめてわずかな物事のたとえ。いささか。ほんの少し。わずかばかり。
    1. [初出の実例]「髪〈略〉末までちりのまよひなく、つやつやとこちたう美しげなり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)椎本)
  8. さわぎ。みだれ。→塵治まる
  9. 先人のした仕事。遺業。→塵に継ぐ
  10. 残りもの。お流れ。
    1. [初出の実例]「御憑み今日悉く御返しすみて、残りたる物を右筆両人・御使人・同朋、御ちりとて、鬮にて給候」(出典:年中定例記(1525頃))
  11. 相撲で、土俵上にあがり、清めの塩をまいたあと徳俵(とくだわら)の内側にしゃがんで、両手をすりあわせて塵をひねり落とし、ぱっとひらく動作をいう。
    1. [初出の実例]「やがて二力士は土俵口で例のチリと云ふ挨拶をして、それから土俵の中へ進んだのださうな」(出典:東京年中行事(1911)〈若月紫蘭〉一月暦)
  12. ちりがみ(塵紙)」の略。
    1. [初出の実例]「なにとは知らず、ちりといへるいやしげなる紙に包みたるものを投げ入れて、その人はいづち行きけん。影だに見えず」(出典:随筆・こがねぐさ(1830頃か))

ごみ【塵・芥】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 水の中に浮遊したり、水の底に沈殿したりしている泥。
    1. [初出の実例]「水田(みづた)のごみふかかりけるくろのうへに」(出典:平家物語(13C前)九)
    2. 「水の底につつゐたる、ごみ」(出典:名語記(1275)五)
  3. 泥状のもの。〔日葡辞書(1603‐04)〕
  4. 泥や土ぼこり。
    1. [初出の実例]「しろ粉(ふん)に風の吹しく見せ棚はちらめきとめぬ渣(ゴミ)ぞ立ける」(出典:狂歌・犬百人一首(1669))
  5. その場所をよごしている、役に立たない、きたないもの。ちり、あくた、かす、くずなど。
    1. [初出の実例]「こみ、たきぎあぶなき物どもおき候はんように、御申つけ候べく候」(出典:大閤真蹟(1582頃))
    2. 「勾配のない溝に、芥(ゴミ)が落ちて水が淀(よど)んでゐる」(出典:青年(1910‐11)〈森鴎外〉一)
  6. 役に立たず、価値のない、または、とるに足りない人や物を比喩的にいう。
    1. [初出の実例]「後の月客も半分ほどはごみ」(出典:雑俳・柳筥(1783‐86)初)

じんヂン【塵】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ちり。土ぼこり。ごみ。
    1. [初出の実例]「側らに在る塵(ヂン)を取って摘(つま)み」(出典:花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉二)
  3. ( 「塵」は[梵語] artha または viṣaya の旧訳。衆生の心を汚すところからいう。新訳では「境」 ) 仏語。六根の対象である六境。色、声、香、味、触、法の六つを六塵という。
    1. [初出の実例]「衆生従来迷塵。神根不利」(出典:法華義疏(7C前)一)
  4. 六根のうちの眼根の対象となる極めて微細ないろをいう。
    1. [初出の実例]「乃至眼耳鼻舌身意、根・識・塵等もかくのごとし」(出典:正法眼蔵(1231‐53)自証三昧)
  5. 一の十億分の一の数。沙の十分の一、埃の十倍の数。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「塵」の意味・わかりやすい解説


ちり

相撲の仕切りに関することば。塵浄水 (ちりじょうず) の略で,昔,野天で相撲を取ったとき,雑草 (ちり) をむしりとって手を清めたのが始めとされる。かしわ手を打って,もみ手をしてから腕を左右に開き,初め上に向けた手のひらを下に返す動作を「塵を切る」といい,武器を持っていないことを示す意味があった。


じん

仏教用語。六境すなわち感覚器官の対象である色,声,香,味,触,法のことで,真実の心性をけがすことから塵と呼ばれている。

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デジタル大辞泉プラス 「塵」の解説

2012年公開のドキュメンタリー映画監督撮影・編集:河瀬直美。出演:河瀬直美、河瀬宇乃(監督の養母)、光祈(監督の息子)ほか。「につつまれて」(1992)に始まる自伝的ドキュメンタリー群の集大成的な作品。

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