売船(読み)うりぶね

精選版 日本国語大辞典 「売船」の意味・読み・例文・類語

うり‐ぶね【売船】

  1. 〘 名詞 〙 売る対象となる船。船主が新船建造その他の事情売りに出す中古船、もしくは船大工が注文によらず建造して売りに出す新造船。
    1. [初出の実例]「此辺にうりふねや候御ひけいあれ」(出典:幸若・笈さかし(室町末‐近世初))

売船の補助注記

「売船」を「ばいせん」と読むときは、一般に買積船を意味する。


ばい‐せん【売船】

  1. 〘 名詞 〙 江戸時代、城米・蔵米輸送や菱垣・樽両廻船など主力的海運の運賃積経営形態に対して、北前船に代表される買積経営形態をとる廻船の俗称。船主が自己資本商品を購入し、他国へ輸送して売る廻船。
    1. [初出の実例]「おりふし ばいせんおし出す」(出典:説経節・越前国永平寺開山記(1689)四)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「売船」の意味・わかりやすい解説

売船
ばいせん

(1) 船主が自己の資本で低価格の商品を買入れ,高価格で売れる土地へ運送して利益をあげる廻船,つまり買積 (かいづみ) 経営の廻船を運賃積経営の廻船に対して呼んだもの。江戸時代後期から明治にかけて北海道産のニシン内地へ輸送し販売して莫大な利益をあげた,いわゆる北前船はその代表的なものである。 (2) 江戸時代,造船の中心地だった大坂で,注文なしに建造して売りに出した船をいったが,この場合は多くは売り船と呼んだ。

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