化学辞典 第2版 「変旋光」の解説
変旋光
ヘンセンコウ
mutarotation
旋光性物質の溶液の旋光度が経時的にかわる現象.糖類やオキシ酸などの新しい溶液は,そのまま放置するか,煮沸したり,酸またはアルカリを加えると,時間とともに旋光度が変化し,やがて平衡に達する.この現象を変旋光という.旋光度が経時的に変化しても,その原因がラセミ化やそのほかの化学変化による場合は,変旋光とはいわない.変旋光は異性化が原因になっている.たとえば,D-グルコースのα-ピラノースの水溶液(+111.2°)を放置すると,時間とともに旋光度が変化し,最終的に一定した旋光度(+52.3°)になる.この値は,D-グルコースのα形34%,β形66% の混合物による旋光度になっている.β-ピラノースの水溶液(+18.7°)を放置しても同じ結果になる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報