動植物の各種内にみられる種々の型、個体的あるいは集団的な変異、地方的変異などに対して用いられてきた術語。型と同様に、分類学上、亜種に相当するような地域的な変異、地方型、遺伝子の相違によって生ずる色彩・形態あるいは生態などの変異型、環境状態の違いによってできる変異型、奇型は別として、個体的変異の著しい異常型のようなものまでが含まれている。厳密にいう場合には、互いに交配可能な1個体群(種にあたる)のなかに現れる不連続な変異型、つまり「中間型でほかの構成員と連続しない型」に限られるのが普通であるが、その範囲を定めることは、実際ではかならずしも容易ではない。
植物では、現在も亜種より変種のほうがよく用いられており、規約上でも品種(型)とともに認められていて、学名では種名または亜種名のあとにvar. (varietasの略)と記してあるのが変種の意味で、そのあとにある語が変種名である。
動物でも変種の扱いは、かつては普通に用いられていたが、現在の「国際命名規約」ではほかのいろいろな型名とともに公式には除外されている。そのため1960年(昭和35)以前からの変種と型は、一部の例外を除いて亜種として扱われる。
[中根猛彦]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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