外交官(読み)がいこうかん(英語表記)diplomatic agent

精選版 日本国語大辞典 「外交官」の意味・読み・例文・類語

がいこう‐かん グヮイカウクヮン【外交官】

〘名〙 外務大臣監督の下に外国駐在または派遣されて、外国との交渉事務を担当する公務員特命全権大使特命全権公使、特派大使およびその所属参事官書記官外交官補などの総称
※条約改正論(1890)〈馬場辰猪原著、山本忠礼・明石兵太合訳〉追加「豈に其れ我国外交官の談話を以て直ちに日本民間の情態を写し得たるものなりと断定し得べけんや」

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デジタル大辞泉 「外交官」の意味・読み・例文・類語

がいこう‐かん〔グワイカウクワン〕【外交官】

国家を代表して外国に派遣され、外務大臣の監督のもとに外交事務に従う官職。大使・公使および参事官書記官など。駐在国では外交特権を認められる。ディプロマット
[類語]大使公使領事

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「外交官」の意味・わかりやすい解説

外交官
がいこうかん
diplomatic agent
diplomat

大使、公使などの外交使節外交使節団の長)とその主要な随員である外交職員をいう。「外交関係に関するウィーン条約」(1961年採択、64年発効)によれば、外交職員とは外交使節とともに外交事務に従事する者で、国によって呼称が同一というわけではないが、日本では参事官、一等・二等・三等書記官、および外交官補など(外務公務員法)である。また、以上のような国を代表して外国(接受国)に常駐する者のほか、国際会議や特別な任務のために派遣される政府代表や全権委員および特派大使とその顧問・随員なども一時的に外交官として扱われる。外交官には、その任務の能率的な遂行のために、外交特権が与えられており、外交官としての身分が国際的に保障されている。しかし同時に外交官は、その活動にあたり接受国の法令を尊重しなければならず、とくに接受国の国内問題に介入してはならない。また外交官は、接受国において個人的営利のための職業活動や商業活動をしてはならない。わが国の場合外交官になるためには、原則として、国家公務員Ⅰ種試験および外務省専門職員採用試験に合格し、一定期間の研修を受けなければならない。

[広部和也]

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百科事典マイペディア 「外交官」の意味・わかりやすい解説

外交官【がいこうかん】

広義には外交使節(大使,公使)とその主要随員。外務公務員一般を含むこともある。日本の法令では外交使節と,外務公務員のうち参事官,書記官,外交官補などをさす。国家を代表して外交事務に当たり,古くから外交特権をもつなど身分の特殊性が認められている。→アグレマン在外公館
→関連項目外務省大使治外法権

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世界大百科事典 第2版 「外交官」の意味・わかりやすい解説

がいこうかん【外交官 diplomat】

一般には,外交使節(大使公使)とそのおもな随員をさすが,法令では,外務公務員のうち,主として外交事務に携わる一般職の職員(参事官,一等書記官,二等書記官,三等書記官および外交官補の名称を用いることのできる者)をさす。外交官に関し,イギリスの外交官ウォットンHenry Wotton(1568‐1639)は〈彼の国のために外国に噓をつくために派遣される正直な人間〉と表現し,フランスの外交官カリエールFrançois de Callières(1645‐1717。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「外交官」の意味・わかりやすい解説

外交官
がいこうかん
diplomat, diplomatic agent

一国を代表し,他国または国際機関に派遣される公務員。特に外交使節団の長 (大使) および外交職員 (参事官,書記官など) をさす。任地国で外交特権を与えられる。

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世界大百科事典内の外交官の言及

【外交】より

…ニコルソンH.Nicolson(1886‐1968)は《外交》(1963)の中で,外交と外交政策とがしばしば混同して使用されている点に注意を喚起し,交渉としての外交に限定して論議を進めるが,ここでは外交政策についても若干触れることにする。
【外交形態の変化】

[宮廷外交の時代]
 交渉としての外交は,人類社会とともに長い歴史をもつが,今日見られるような職業外交官や外交の慣行・儀礼,またその行動の規範となる国際法が出現したのは,中世の終りのイタリアの都市国家においてであるといわれる。しかし華々しく外交が開花したのは,16世紀から18世紀にかけての絶対主義王朝期の西欧においてであり,そこではロマンに満ち,陰謀の渦巻く〈宮廷外交〉がくりひろげられた。…

※「外交官」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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