翻訳|bedwetting
無意識のうちに排尿してしまう遺尿症enuresisのうち、夜間睡眠中に夢うつつの状態で排尿するものを夜尿症または夜間遺尿症という。日中にみられるものは昼尿症または昼間遺尿症というが、遺尿症の大部分は夜尿症である。無意識のうちに尿を漏らす尿失禁に含まれる。
夜尿症は、排尿のしつけによって膀胱(ぼうこう)機能の調節を獲得した年齢の小児にみられ、一般に誤った排尿のしつけによるとされている。普通、2歳の終わりころから便器への排尿を覚え、中枢神経系の排尿調節が完成する時期は個人差が大きいが、だいたい3~5歳の間とみられている。したがって、それ以後に無意識排尿がしばしばみられる場合、病的とみなして夜尿症という。泌尿器系や中枢神経系に異常があって夜尿症となるものはむしろ少なく、排尿のしつけを母親が急ぎすぎた結果であることが多い。
排尿のしつけは冬季を避け、1歳前後に始めるのが適当とされる。乳児期の排尿・排便のしつけは条件反射によるものであり、種々な環境的因子によってこれが崩れることがある。このとき、母親が焦ったり落胆したりしないようにし、最初からやり直すつもりで根気よく行うことが望まれる。就床後1~2時間目に強制的に排尿させられると、尿が膀胱に満たされないうちに夢うつつの状態になると排尿するという一つの条件反射ができてしまうので、無理に夜半に起こして泣かせながら排尿させたりするのは逆効果である。子供に対し夜尿症は治すことができると強調して安心させ、睡眠を十分にとらせるほか、失敗しなかったときにカレンダーに記録して励みとさせたり、治療に積極的に参加させる。民間療法や薬物療法など種々のものがあるが、暗示と精神療法がもっとも効果的である。
[山口規容子]
夜間,就寝中に尿をもらすこと。俗に〈寝小便〉ともいわれる。不随意に尿をもらすことを遺尿といい,排尿コントロールは3歳以下では完全にはできないとされることから,4歳以上の遺尿が病的とされる。しばしば遺尿を起こす状態を遺尿症enuresisという。遺尿症には昼間の覚醒時に遺尿をみる昼間遺尿症と,夜間遺尿症とに分けられ,後者が夜尿症にあたる。夜間遺尿はレム睡眠と一致して起こる。また遺尿症には乳児期からひきつづいて遺尿のみられる一次遺尿症と,いったん改善したのち,再び遺尿がみられる二次遺尿症とがある。夜尿症はほとんどが心身症的機序によって起こり,神経系,尿路系の器質的疾患によるものは少ない。原因は一様ではなく,欲求不満,葛藤,過保護による依存などが考えられるが,必ずしもこれだけでは説明できないことも多い。たいていは自然に治るが,治療は,精神療法が主で,ときに抗うつ薬などによる薬物療法も行われる。
執筆者:佐藤 祥之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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(2015-7-30)
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…不随意に尿を排出する状態をいう。昼間尿をもらす昼間遺尿症,夜間睡眠中にもらす夜間遺尿症(夜尿症ともいう),および両者の混合型がある。幼少時は,排尿のコントロールが十分にできないため,遺尿は生理的であるが,5歳を過ぎてからの遺尿は臨床的に問題がある。…
※「夜尿症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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