精選版 日本国語大辞典 「大事」の意味・読み・例文・類語
だい‐じ【大事】
[1] 〘名〙
※十七箇条憲法(604)「十七曰。大事不レ可二独断一、必与レ衆宜レ論」
② 仏語。修行して悟りを開くこと。出家すること。
③ 寺院や法流にとって重要な修法や作法。
※醍醐寺新要録(1620)「報物集云〈略〉故僧正御房大事御書一向西南院伝候
。答、不レ然。故覚洞院相伝大事等一切不動。遍智院経蔵大法つし有地」

⑤ (形動) 普通の状態ではなく、困ったりてこずったりする物事。また、そういうさま。
(イ) 困難なこと。手ごわいこと。
※今昔(1120頃か)二八「但し其は楽人など呼び下すは、大事なれば否(え)呼び不給じ」
(ロ) 危険なこと。生死にかかわる一大事。
※名語記(1275)二「みな大事にもなくて、一方のたすかるすぢあるを かたやすとはいへるにや」
※浄瑠璃・近江源氏先陣館(1769)六「もしも運つき頼家公御大事とならんとき、これ、この龍頭の兜を着し、君に代って討死せん」
※落窪(10C後)三「いと大事にはあらねど、起き臥しなやみ給ふを」
(ニ) 不都合なこと。いけないこと。さしさわり。→だいじない。
※虎明本狂言・文荷(室町末‐近世初)「いやしからるるとも、両人がしかられう程に、大事じゃ、何とぞたくましめ」
[2] 〘形動〙
① かけがえのないものとして大切にするさま。また、かけがえのないさま。
※浮世草子・日本永代蔵(1688)一「昼は家職を大事(ダイジ)につとめ、夜は内を出ずして」
② 評価して心にとめるべきさま。重要で根本にかかわるさま。「大事な点」「大事な問題」など。
※中華若木詩抄(1520頃)上「大事の異見を申すべきほどに、左右の人をしりぞけられよ」
おお‐ごと おほ‥【大事】
〘名〙 (「おおこと」とも) めったにない重大なこと。規模や影響の大きな事件。大変。大事件。一大事。〔易林本節用集(1597)〕
※二人女房(1891‐92)〈尾崎紅葉〉下「一二年の中に有附けば好けれど長引かれると大事(オホゴト)になる」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報