精選版 日本国語大辞典 「大切」の意味・読み・例文・類語
たい‐せつ【大切】
〘名〙 (形動)
① 緊急を要すること。危険や災難などがさし迫っていること。捨てておけない状態であること。また、そのさま。
※殿暦‐康和四年(1102)五月二〇日「巳剋許右府来、数剋後被レ出、雖二物忌一依二大切一相会也」
② 一番必要で、重んずべきものであること。貴重であること。肝要であること。また、そのさま。
※台記‐久安三年(1147)六月三〇日「諸卿議二忠盛朝臣罪一云云、非二重科一者、無レ事之様定申、大切事也」
※小説神髄(1885‐86)〈坪内逍遙〉上「韻語を用ふることも、詩を吟誦せしころにありては頗る要用なりしならめど現世のごとくに黙読してただ通篇の神韻をばめでよろこべる世となりては、さまで緊要(タイセツ)なるものとも思はず」
③ すぐれていること。立派であること。また、そのさま。
※明衡往来(11C中か)中末「就中筆是成二仏経書写之功徳一、為二男女和合之用物一。其質軽其実重。尤大切也、尤神妙也」
④ 心をくばってていねいに取り扱うこと。大事にすること。かけがえのないものとして心から愛すること。また、そのさま。
※梵舜本沙石集(1283)八「事に触てからがましく振舞ければ、大切に思食ける程に」
※バレト写本(1591)「ワガミニ アタヲ ナス ヒトニワ ナヲ tayxet(タイセツ) ヲ モッテ ホウズル ミチ ナリト」
おお‐ぎり おほ‥【大切】
〘名〙
① (━する) 物を大きく切りわけること。大きく切るもの。また、その切り身。⇔小切り。
※勇魚取絵詞(1829)「例の山刀(なた)にて大切(オホギリ)したる骨どもを」
※歌舞伎・韓人漢文手管始(唐人殺し)(1789)四「紙員四十九帖、第四、大切」
④ 物事の最後。おわり。
※西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈仮名垣魯文〉五「博覧会の結局(オホギリ)まで一小梨園(おででこしばゐ)とお見捨なく」
たい‐せち【大切】
〘名〙 (形動) =たいせつ(大切)
※富岡本栄花(1028‐92頃)玉の村菊「心かしこからんめのとは、人の御ため、たいせちの物にこそありけれ」
※古今著聞集(1254)一六「ことにおきてたいせちなりければ」
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