精選版 日本国語大辞典 「大名貸」の意味・読み・例文・類語
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江戸時代、高利貸商人が、諸藩大名領主に金銀を貸し付けること。近世前期には、京都の両替商や朱印船貿易に従事していた豪商などが、財政窮乏の大名に高利貸付をするが、一方的な債権破棄にあって、倒産する商人も多い。中期以後は、大坂の堂島米市場の発展により、大坂の両替商、蔵元(くらもと)商人などが、廻米(かいまい)を担保とする大名貸を展開し、藩財政と大坂高利貸資本が結び付いて、大名貸資本が巨大な資本を蓄積するのである。とくに元禄(げんろく)期(1688~1704)以降、領主経済の窮乏化に伴い、蔵米(くらまい)販売代金を保管・出納する掛屋を勤める御立入(おたちいり)商人の大名貸はますます増加した。薩摩(さつま)藩、仙台藩などの大藩の借金は100万両以上に上った。藩財政は、これら金主の富商によって制せられ、彼らは諸大名より扶持(ふち)を給され、大名貸の代表的存在となった大坂の鴻池(こうのいけ)などは、岡山・広島藩はじめ各藩から受ける扶持米が1万石にも及んだ。金利は、月8朱が多かったが、幕末には月4朱ほどにまで低下したという。
[川上 雅]
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江戸時代,大名領主に金銀を貸し付けること。領内外の広範な農工商が行い,とくに京都,ついで大坂・江戸といった大都市では,これを専業とする鴻池(こうのいけ)屋などの商人も現れた。17世紀後期以降,典型的に展開した大名貸は,大名の江戸での貨幣支出の膨張に対し,掛屋(かけや)・蔵元(くらもと)に任命した大坂町人に月ごとの仕送りをさせ,年貢米の廻送・売却で決済するいわゆる当用貸が中心であり,これに臨時貸付けが加わった。しかし年貢米の廻送はしばしば滞り,とくに享保年間以降は米価下落・幕府の抑商政策の影響で大名貸は不利となり,不良債権が増大した。この多くは維新政府の藩債処分により切り捨てられ,多くの商人が打撃をうけた。
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… 石高制にもとづく江戸時代の領主経済は,原則として米納年貢の収取によって賄われたから,領主の歳入は秋の収穫期に限られたわけであるが,参勤交代の負担や天災による歳入の減収,役替え,家督相続,江戸屋敷の類焼など臨時支出の頻発によって,収納期前の領内外からの借入金が,早い時期から恒常化していた。京都,大坂の富商に代表される大名貸は,将来の年貢米を担保とし,収穫期に中央市場に回送される領主米の販売代銀で返済するのが一般であったが,債務の累積によって返済の延滞や切捨てがたび重なるにつれて,領主権力の及ばないそのような領外からの借入を困難にしていった。領主にとって最も安易に借入を調達しうる方法が,領内における年貢先納であった。…
…江戸で明暦年間(1655‐58)以前から続いた本両替商の名。とくに米沢,秋田,会津など東北諸藩への大名貸を行い,大坂の鴻池と並び称された。米沢藩では三谷に禄高700石の待遇を与え,金融面だけでなく上杉鷹山(ようざん)の殖産興業政策に深くかかわり,蠟,青苧(あおそ),絹織物の一手販売まで行わせていた。…
※「大名貸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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