1939年製作のアメリカ映画。スペクタクル映画の巨匠セシル・B.デミル監督の西部劇で,ジョン・フォード監督《アイアン・ホース》(1924)に次いで大陸横断鉄道建設を主題にした大作。1930年代後期のアメリカでは国民精神の鼓舞を意図した伝記映画が流行したが,デミルは西部開拓史の伝説的ヒーロー,ワイルド・ビル・ヒコックを主人公にした《平原児》(1937)につづいて,開拓時代の苦難を克服する建国精神を謳歌したこの作品をつくり,ユニオン・パシフィック鉄道の社長W.ジェファーズの全面的な協力をえて,徹底的な資料調査にもとづいてシナリオを書き上げた。ナバホ・インディアンやシャイアン族を撮影現場へ集めて撮影し,インディアンの列車襲撃,雪の渓谷を走る列車の転落事故,強盗事件と夜の大平原での追跡,大乱闘等々,はでな見せ場の連続で,興行的にも大ヒットしたが,西部開拓史のとらえ方が疑問視され,映画史では無視されていることが多い。のちに〈西部劇のSF版〉としてつくられた《スター・ウォーズ》(1977)に模倣された,冒頭の延々とつらなるレールをバックにしたクレジットタイトルだけは圧巻であると評する論者すらいる。
執筆者:柏倉 昌美
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…北はカナダ,南はメキシコ国境まで広がる。〈大平原〉とも訳す。標高は西端で最高1800m,東へ高度をしだいに下げ,東端で約600m程度,アメリカ中央平原へしだいに移行する。…
…東側では降水量が多く,1m近くも厚く堆積する黒土をもち,草丈が2~3mに及ぶ高茎草原で,世界の一大農業地帯が発達している。西側は乾燥が強く,草丈が15~50cmの短茎草原となり,栗色土がわずか20~30cm堆積し,大平原Great Plainsと呼んでプレーリーと区別されることがある。南半球の温帯草原の代表はアルゼンチン北部を中心に広がるパンパで,現在では森林の破壊により面積が広がっており,ほぼ全域が牧場となっている。…
※「大平原」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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