大日本麦酒(読み)だいにほんびーる

日本大百科全書(ニッポニカ) 「大日本麦酒」の意味・わかりやすい解説

大日本麦酒
だいにほんびーる

第二次世界大戦前、圧倒的なシェアを誇ったビール製造会社。ともに明治20年代初めに設立された札幌麦酒、日本麦酒、大阪麦酒の3社が合併して1906年(明治39)に設立された。札幌麦酒は官営の北海道開拓使麦酒醸造所(1876開所)を前身とし北海道を地盤サッポロビール、日本麦酒は東京を地盤にヱビスビール、大阪麦酒は大阪を地盤にアサヒビールを販売していたが、相互の競争が激化したことから、競争関係の解消、原料の国産自給などを目的として合併した。合併後、同社は清涼飲料も手がける一方、第一次世界大戦下でも国産原料によってビール生産を伸ばし、さらに東南アジアや中国にも進出した。そして第二次世界大戦までつねに国産ビールの60~70%を生産して市場を支配したが、戦後占領政策のもとで過度経済力集中排除法の適用を受け、1949年(昭和24)、日本麦酒(現サッポロビール)と朝日麦酒(現アサヒビール)に分割された。

[中村清司]

『浜田徳太郎編『大日本麦酒株式会社三十年史』(1936・大日本麦酒)』


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