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江戸幕府の職名。1632年(寛永9)12月,秋山正重,水野守信,柳生宗矩,井上政重の4人が総目付に任じられたのがはじまりである。当初は大名・旗本,老中以下諸役人の政務・行状を監察し,言上することをおもな任務としたが,中期以降は各藩に対する法令伝達や,江戸城中における大名の座席,作法などをもっぱらつかさどった。また勘定奉行とともに道中奉行を兼務したほか,切支丹宗門改,江戸十里四方鉄炮改,分限帳改などの職務を分担した。評定所に交代で出座し,裁決に立ち会うこともあった。1662年(寛文2)以来老中支配。役料は66年1000俵,92年(元禄5)3000石以下に700俵,1723年(享保8)に足高(たしだか)制が制定されて,3000石高と定められた。定員は4~5名だが,幕末には10名に及んだことがある。江戸城の詰所は芙蓉間。就任者は従五位下に叙せられた。長崎奉行,勘定奉行,町奉行などを経て任じられる者が多く,旗本の栄職であった。
執筆者:松尾 美恵子
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江戸幕府の職名。老中(ろうじゅう)の支配下で大名(だいみょう)目付、総目付ともよばれた。1632年(寛永9)12月に設置されたが、徳川家光(いえみつ)政権による大名統制強化の一環といえる。その本来の役割は軍奉行(いくさぶぎょう)であり、これは島原の乱でも証明された。定員は4、5人で旗本から選出されるが、待遇は大名並みの役職である。1723年(享保8)役高は3000石と定められた。大目付の職掌は、全国への法令の布告、江戸城殿中での大名の席の配置、大名の欠礼届の受理、将軍出行時の供奉(ぐぶ)の管掌などのほか、関東・畿内(きない)諸国の巡視を命ぜられる場合もあり、国内の民情視察も職務であったようである。ほかに道中(どうちゅう)奉行、宗門改(しゅうもんあらため)、鉄砲改を兼任した。
[煎本増夫]
江戸幕府の職名。1632年(寛永9)に柳生宗矩(やぎゅうむねのり)など4人が総目付に任じられたのが起源といわれる。はじめ大名や旗本,老中以下諸役人の監察をおもな職務としたが,中期以降幕府の職制が整備され,幕藩関係が安定するにしたがい,各藩への法令伝達や江戸城内における大名の席次・礼法をつかさどる式部官的な傾向が強くなった。服忌令改・分限帳改・指物帳改・鉄砲改・宗門改・御日記改などの職務を分担するほか,道中奉行を兼務した。定員は4~5人だが,幕末の混乱期には10人におよんだこともある。62年(寛文2)以降老中支配,1723年(享保8)以降役高3000石。芙蓉間(ふようのま)席,従五位下。
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…大名の所領支配そのものが領内の平和の維持を含めて将軍の軍事的統率下にあることに立脚していたからである。幕府,大名の意思疎通は日常的には種々なレベルの個別的人脈によっていたが,公的には幕府の意思は大目付によって伝達された。大目付は使番(巡見使や国目付はこの役の者から任命された)とともに,将軍本営の命令を出先の部隊に伝え,かつその実施を監察するのがその本来の機能であり,それが平時の行政上の伝達系統に転用されたのである。…
…平安以降になると,漢代に丞相(大臣に当たる)の下に置かれた御史大夫が先例で,天智,淳仁天皇時代の御史大夫が根拠となって大納言の唐名として用いられた。また唐代に刑憲典章をつかさどった御史台の長官を御史大夫といったことにより,弾正台長官の尹(かみ)の唐名として用いられ,江戸時代には大目付の唐名ともなった。【山本 信吉】。…
…その存在は幕府創設後かなり早くから認められるが,1635年(寛永12)に規則が初めて成文化された。構成員の中心は寺社,町,勘定の三奉行で,これに大目付,目付が審理に加わり,勘定所からの出向者を主とする留役(とめやく)(書記)が実務を担当した。初期には老中も出席したが,1660年代(寛文年間)ごろに寄合(会議)が式日(しきじつ),立合,内寄合(うちよりあい)の3種に分かれて,老中は式日にのみ出座することになり,さらに1720年(享保5)からは月1回出座となった。…
※「大目付」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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